「諭吉は見ている?!」ふかわりょうが考える、「お会計」の美学

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フリー・ドリンクで困ること

 学生の頃の合コンでは、たいてい男性陣が多く支払っていました。男は1人5千円に対し、女性は千円みたいに。女子大によっては、「え? お金とるの?」という高飛車タイプもいました。なんらかの見返りを求めていた節もあるので、先行投資でしたが、これに限らず、女性が優遇されている側面は今でもあります。

 たとえば、ディスコやクラブでは女性へのサービスがある意味露骨です。女性客が多く集まると男性も集まるからマーケティングとしては正解なのでしょうが、酷なほど男性たちは多く支払っていることが女性陣に伝わっているのか甚だ疑問です。女性の入場無料は当たり前。しかも、ドリンク無料というのは本当に良くない風習です。なぜなら、男性が声を掛けるきっかけを失ってしまうからです。「ドリンク奢ろうか?」の一言から出会いが始まるのに、フリー・ドリンクになるとそれができない。「一緒に飲もうよ」「何飲んでいるの」では、拘束力が弱く、ありがたみもない。だから、女性のフリー・ドリンクというシステムは狩猟目的の男からすると、あれほど迷惑なサービスはないのです。

 彼女との食事やプレゼントなどに費やした金額を性交渉の回数で割る男がいました。野球選手の年俸をホームランの数で割るような感覚でしょうか。このような男性は会計士とかに向いているのかわかりませんが、ここまでくると逆に微笑ましいです。感謝の気持ちから性交渉まで幅は広いですが、お金をかけた分の「見返り」を求めてしまうのでしょう。確かに無風だと支払いに激しい痛みが伴います。

いかに低コストで旅行を済ませるかに心血を注ぐ先輩

「参ったなぁ」

 大学時代、面白い先輩がいました。福島県のイベントに参加するために都内から車数台で向かう南米音楽サークルの旅。当時の部長がなかなかの倹約家で、まず、高速道路には乗りません。下道をひたすら走ります。夜中の国道をライトが照らす車内で、私は助手席に座っていたのですが、時々ため息を漏らすのです。

「参ったなぁ、これじゃぁ、燃費が下がっちゃうよ」

 燃費がいいとされている走行スピードの時速60キロをキープしながら走りたいので、前にノロノロ運転の車があると、燃費が悪くなりガソリン代が割高になってしまう。それで、「参ったなぁ」とイライラし始めるのです。最終的に全員で割り勘するのですが、いかにいい演奏をするかよりも、いかに低コストでこの旅行を済ませるかということに重きを置いている先輩。そんな彼は2回ほど留年していました。

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