侍ジャパン、メキシコ戦快勝でも心配な鈴木誠也【柴田勲のセブンアイズ】

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4投手に感じる勢い

 2番手の伊藤大海は球が速かったし、球の威力もあった。手応えをつかんだのでないか。平良海馬は反省材料をもらった。8回2死一塁からメネセスに左中間へ一発を運ばれた。真ん中の甘いスライダーだった。メネセスはこの日、2安打していた。一番警戒しなければならない打者だった。

 7回に坂本勇人の一発、山田の適時打でダメを押していたので慌てる必要がなかった。点は取れるうちに取っておく。鉄則だ。

 9回に登板した栗林良吏は三者凡退で締めた。28日のドミニカ戦では9回に1点を失ったが、今回は打者を早めに追い込んでいた。反省材料を生かしたのではないか。

 この4投手を見るにつけ、巨人・菅野智之(今回は代表辞退)、楽天・田中将大らとはまた違った勢いを感じる。様変わりしてきたね。

 ちょっと心配なのは4番・鈴木誠也だ。2戦で8打数無安打だ。前半戦終盤から調子を落としていたが、いまだ、引きずっている感じがする。

 だが、日本代表の顔ぶれを見て、4番が務まるのは鈴木以外にいない。キャリア、実績ともに任せられる存在だ。いまは多少不振でも外してはいけない。もし外したら腐ってしまう可能性もあるし、後釜の選手にもいい影響を与えないだろう。

 このままでは終わらないはずだ。必ずや、調子を上げてくるだろう。主砲の不振は周囲がカバーする。チームワークだ。いまの日本代表にはできている。9回、中堅のフェンス際まで打球を飛ばした。らしさを感じた。上昇のきっかけをつかんでほしい。

 準々決勝に進んだが本当の戦いはこれからだ。一戦必勝でいきたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年8月1日掲載

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