カップヌードルがフタ止めシール廃止 ロングセラーでも“変化”しなければならない事情

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 6月4日、日清食品は「カップヌードル」に付属する「フタ止めシール」を廃止すると発表した。今後は順次、シールがなくても止められる“Wタブ”フタに切り替わる。定番のロングセラー商品でも、こうした“進化”をしなければならない事情があるという。

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 カップヌードルのフタ止めシールは1984年9月に採用された。今回、これを廃止する理由については〈年間33トンのプラスチックが削減できる〉と説明されている。(カップヌードル公式Twitterアカウントより)。廃止を報じるニュース記事には概ね賞賛のコメントが寄せられており、日清の新たな試みは成功といえる。

 カップヌードルといえば、具材の「謎肉」のファンも多い。2009年からは「コロ・チャー(角切りチャーシュー)」が使われていたが、15年のリニューアルを機に6年ぶりに復活。その正体が、豚肉や大豆、野菜などからなるミンチであることが17年に明かされた。いま流行りの大豆ミートの先駆け的な導入、といったところだろうか。実際、今後カップヌードルはエビなど動物性食材の使用をやめ、ビーガン対応の食品にしていく方針だという。

 日清は神奈川県・横浜市の「カップヌードルミュージアム」を運営し、商品の歴史を学んだり、マイカップヌードルを作ったりといった“コト消費”の場も提供している。フタシール廃止やビーガン方向へシフトするといった環境負荷軽減策を投じていることからも、ブランドのファン育成に熱心な企業であることは間違いない。とはいえ、50年の歴史をもつ日本屈指のロングセラー商品ともなれば、フタの形状ひとつをとっても、簡単には決断できないであろうことは予想できる。

柿の種にマヨネーズ…進化するロングセラー商品

 こうしたロングセラー商品が変化する例は、近年、いくつか見受けられる。たとえば「亀田の柿の種」は昨年、柿の種とピーナッツの割合を「6:4」から「7:3」に変えた。消費者からの意見募集を聞く場を設けて決まった割合だが、発売から54年(※昨年時点)の定番商品にとっては大きな変化といえるだろう。

 昨年、70年の歴史を誇るノザキのコンビーフが、枕缶を廃止したことは大きな話題を呼んだ。製缶製造ラインの老朽化が理由とされるが、裏を返せば、ラインに限界が来るまで、消費者になじみのある枕缶をあえて使っていたといえる。アルミと樹脂フィルムを使った新パッケージによって賞味期限は3年から3年半に延びたから、ファンにとっては歓迎すべき切り替えだろう。

 3年前には「キューピーマヨネーズ」が350グラム商品のキャップの穴を1つから3つに増やしている。かけたときの「美しさ」「楽しさ」の追求がその理由とされていて、30~40代女性をターゲットに「インスタ映え」「食卓での子供との利用」を念頭に置いているそうだ。発売90年目にしての進化だった。

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