少子化でも来年の4年制大学は定員2975人増?「人気のない大学は潰れる」は大間違い

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増え続ける大学

 文学部の定員を減らして医療系の学部を新設したり、文学部や家政学部がメインだった伝統的な女子大が看護学部を新設したりするなど、まさに高齢化社会を反映していると言えるだろう。

 学科の新設と、専門職大学の新設は一度にご紹介する。「専門職大学」とは2017年の学校教育法改正で設けられたものだ。

 これまでリハビリ、ファッション、動物看護などの専門職大学が認可されている。乱暴に言えば専門学校を大学にしたようなものだ。

◆日本医療大学(北海道)保健医療学部に臨床工学科を新設
◆新潟青陵大学(新潟県)福祉心理学部に子ども発達学科を新設[社会福祉学科の定員減]
◆宝塚医療大学(兵庫県)和歌山保健医療学部(和歌山県)に看護学科を新設
◆モビリティシステム専門職大学(山形県)
◆アール医療専門職大学(茨城県)

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「2000年に649校あった4年制大学は、21年に795校に増えました」と指摘する。

短大の減少

「背景にあるのは、短大の減少です。2000年に572校あった短大は、20年に323校となりました。大きく報道された例として、1997年度に募集を停止した学習院女子短期大学、2018年度に停止した立教女学院短期大学、19年度に停止した青山学院短期大学が挙げられます」

 学習院、立教、青山の各短大は、もともとある4年制大学に“吸収”される形となったが、短大が4年制大学になったところも少なくない。

 こうして90年代から始まった文系短大の減少が一段落し、今は看護系短大が4年制大学となるケースが増えている。その際、定員を増やした学校も多かった。

 在校生や受験生が増えると、大学経営の追い風になるのは当然だ。これまで英文科が看板だったような地方の女子短大も、大学になる際には看護学部や介護系の学部を新設するケースもあった。

「医療の進歩は進んでおり、学ぶべきことが増えています。そのため短大や専門学校のカリキュラムでは履修がぎちぎちになってしまうのです。高齢化社会で医療現場は慢性的な人手不足が続いています。ニーズが高まることはあっても、減ることはありません」(同・石渡氏)

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