NHKドキュメンタリーで起きた重大事件 過労死記者の問題に蓋をするあり得ない体質

国内 社会 2021年4月6日掲載

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消された名前

「目撃!にっぽん」というテレビ番組をご存知だろうか。NHK総合で日曜の午前6時10分から放送されているドキュメンタリー番組だ。

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 放送記者が言う。

「日曜の早朝にオンエアされるので、ご存知ない方もいるでしょう。しかし、業界ではクオリティの高い番組として知られています」

 3月7日に放送されたのは、「消えた窯元 10年の軌跡~福島県 浪江町~」だった。

 東京電力福島第一原発から約10キロの位置にある浪江町大字大堀に、23軒の窯元が集う“陶芸の里”があった。

 東日本大震災が発生し、原発事故が起き、浪江町は住民が暮らすことのできない街となった。陶芸家を中心に、浪江町の住民がどのような10年を過ごしたのか、丁寧に追ったドキュメンタリー作品だ。

 ところが、この「消えた窯元」に関して、「放送時、気になる部分があった」という情報が寄せられた。実際に番組を視聴した男性が振り返る。

「番組が終わりに差し掛かると、普通はディレクターなどスタッフの名前が書かれたクレジットが流れるはずです。ところが、3月7日の『消えた窯元』はクレジットが表示されませんでした。非常に珍しく、不自然な印象を受けました」

NHKと過労死

 実は、この「消えた窯元」は2月14日、NHKのBS1スペシャルでも放送されている。その際は、しっかりとクレジットがオンエアされたという。

「目撃!にっぽん」の放送が始まって4年。149回目で初めてのことだ。両方の番組を見た視聴者からは、「(BS版の)放送では出ていたのに、「目撃にっぽん」では表示されないのでしょうか?」との声もあがっている。なぜ、こんなことが起きたのか。NHKの内情に詳しい関係者が言う。

「番組スタッフの1人に、NHK女性記者の過労死問題について詳細に取材し、出版社からノンフィクション作品を上梓した男性がいたからではないでしょうか。この過労死問題ですが、女性記者は過労死規準を大幅に上回る残業が原因で2013年に亡くなりました。もっともNHKが過労死を公表したのは17年。NHKが隠蔽していたのではないかと当時、大きく報道されました」

 その書籍とは、『未和 NHK記者はなぜ過労死したのか』(岩波書店)。著者の尾崎孝史氏はフリーの映像編集者として30年間、NHKでドキュメンタリー番組の制作に携わってきた。

 過労死した女性記者は、佐戸未和さん(1982~2013)。2005年に一橋大学法学部を卒業し、報道記者としてNHKに入局した。

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