「藤浪晋太郎」の開幕投手に賛否両論…阪神の今季を占う“博打采配”の是非

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ある意味、“博打”

 いよいよ今月26日に開幕するプロ野球のペナントレース。オープン戦も21日に終了し、全12球団の開幕投手も発表されている。改めて開幕投手を任されることになった12人の昨年の成績を並べてみると、以下のような数字となる。

石川柊太(ソフトバンク):18試合11勝3敗 防御率2.42
二木康太(ロッテ):15試合9勝3敗 防御率3.40
高橋光成(西武):20試合8勝8敗 防御率3.74
涌井秀章(楽天):20試合11勝4敗 防御率3.60
上沢直之(日本ハム):15試合8勝6敗 防御率3.06
山本由伸(オリックス):18試合8勝4敗 防御率2.20
菅野智之(巨人):20試合14勝2敗 防御率1.97
藤浪晋太郎(阪神):24試合1勝6敗 防御率4.01
福谷浩司(中日):14試合8勝2敗 防御率2.64
浜口遥大(DeNA):16試合6勝5敗 防御率4.60
大瀬良大地(広島):11試合5勝4敗 防御率4.41
小川泰弘(ヤクルト):20試合10勝8敗 防御率4.61

 当然のことではあるが、多くの球団がやはりエースを立ててきていることがよく分かる。また千賀滉大(ソフトバンク)、石川歩(ロッテ)、大野雄大(中日)、今永昇太(DeNA)が出遅れている4球団もエースに次ぐ存在の投手が任せられており、大きな違和感はない。

 そんななかで、やはり一際目を引くのが藤浪だ。実績を考えれば昨年も開幕投手を務めた西勇輝になるところだが、その西がキャンプ終盤にぜんそくで離脱。現在は回復して調整を進めているが、開幕カードは回避することとなった。ここ数年の成績から考えると秋山拓巳、青柳晃洋が候補になるはずだが、矢野燿大監督は昨年1勝の藤浪を選んだのだ。これはある意味、“博打”とも言える采配だろう。

ヤクルトとの相性がいい

 藤浪の抜擢を後押しする要因としては、キャンプ、オープン戦から順調に調整を続けているという点が挙げられる。2月7日の紅白戦では大物ルーキーの佐藤輝明に真っ向勝負を挑み、最後は155キロのストレートで空振り三振に抑えている。キャンプ序盤とは思えないボールの勢いに、復活を期待したファンも多かったことだろう。

 オープン戦でも3試合に登板して勝ち負けはついていないものの、13回を投げて自責点4、防御率2.77というまずまずの結果を残している。開幕前の最終登板となった19日のオリックス戦でも立ち上がりに1点は失ったものの、2回以降は走者を背負っても粘り強い投球を見せ、4回1失点と試合を作った。

 この日もストレートはほとんどが150キロを超えており、最大の課題であるコントロールも3つの四球は与えたものの、大きく崩れることはなかった。特に3回に2アウト一・三塁のピンチで頓宮裕真から見送りの三振を奪った155キロのストレートはアウトローいっぱいに決まるボールで、どんな打者でも手が出ないレベルのものだった。

 もう一つ後押しになるのは、開幕戦の相手であるヤクルトと藤浪の相性が良いという点だ。昨年は対戦したセ・リーグ5球団の中で最も多い7試合に登板し、防御率は1.48をマーク。シーズン唯一の勝ち星も8月21日のヤクルト戦で記録したものである。自身最多の14勝をあげた2015年には、ヤクルト相手に4勝0敗という成績も残している。昨年、主砲の村上宗隆に2本のホームランを打たれているのは気がかりではあるが、藤浪本人にとっても良いイメージを持ちやすいチームを相手に投げられるというのはプラスだろう。

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