武田良太総務大臣の“恥ずかしい発言”を発見 「巨大NTT復活」擁護と会食の関係は

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“ご飯論法”で答えず

 3月18日、武田良太総務大臣が、NTTの澤田純社長と会食していた事が明らかになった。国会審議をみてきた大手新聞のデスクは、こう語る。

「会食が明らかになるまで、国会質問では野党議員から繰り返しNTT社長との会食の有無を問われていても、いわゆる“ご飯論法”でまともに答えていませんでした」

「ご飯論法」とは、朝ご飯は食べたかと聞かれて、朝食でパンを食べたにもかかわらず、「いえ、ご飯(米)は食べていません」と答えて、論点をずらしたりはぐらかしたりするもので、閣僚や官僚が国会答弁で野党からの追及をかわす際に使われる。

「武田大臣は、野党議員に『(澤田社長と)食事をしたことはないか』と何度聞かれても、会食の有無には直接答えず、『国民の疑念を招く会食や会合に応じることはない』と繰り返し答えていました。『疑念を招かない食事はしていたのか』と聞かれても、頑なに答弁を変えませんでした。明確に否定しないので、おかしいなとは思っていましたが」

 そして、国会答弁を見透かすかのように、3月17日、文春オンラインが『武田総務相とNTT澤田社長が会食していた』と報じた。大臣就任後の昨年11月11日に、東京・パレスホテル内にある日本料理店「和田倉」で、澤田社長のほか、NTTドコモ独立社外取締役の遠藤典子氏、JR東海の葛西敬之名誉会長も同席し、会食していたことが明らかになったのだ。

「文春の記事には、もともと2019年12月にNTT側がJR東海の葛西氏と小菅俊一副社長らを接待した返礼として、葛西氏側がセットした会食だったという事情や、そこに武田大臣を連れて行ったのはNTT側だとも書かれていました」

 別のジャーナリストも呆れる。

「大臣本人は当然、身に覚えがあったわけですが、文春がどこまで報道してくるか分からない。仮に出てきても、『疑念を招く会食ではなかった』と逃げられるような答弁を、弁護士と相談して考えたのでしょう」

NTTがTOBを行っていた時期

 しかし、武田総務相は文春報道を受け、18日の衆議院総務委員会で、「会食に同席したのは事実だ」と認めざるを得なくなった。それでも、「出席者から特定の許認可などに関する要望や依頼を受けたことはなく、大臣規範に抵触する会食ではなかったと考えている」としたうえで、会食の内容も「食事は注文せず、ビール2、3杯程度をいただいた後、退席した。費用として1万円を支払った」と述べ、NTTの社長が来ることは知らなかったと釈明した。

 前出のジャーナリストは、

「武田大臣は、『事実関係の問い合わせが一切ないまま、一方的な報道がなされ、大きな驚きを覚える』と逆ギレのような答弁をしていました。おそらく事前に取材があれば、誘ったのは葛西氏で、澤田氏がそこにいたのはたまたまだと主張するつもりだったのでしょう。逆に言えば、NTTと同席したのはマズかったと思っているから、あんな発言になったんです」

 総務省の官僚OBも憤懣やるかたないといった様子で語る。

「NTT社長からの接待問題では、次の総務事務次官にほぼ決まっていた谷脇康彦さん(前総務審議官)が辞職に追い込まれました。昔なら大臣も責任を取って辞めたでしょう。しかも、会食に参加していたにもかかわらず、自分だけ“疑念を招くものではない”と言って逃げたのですから、今後、役人は誰も大臣を信用しなくなるでしょうね」

 では、NTT社長も同席した会食は、本当に疑念を生まないものだったのか。通信業界の関係者は言う。

「昨年11月11日というのは、NTTがNTTドコモを子会社化するためのTOB(株式公開買付)を行っていた時期で、NTTとしては総務大臣の反応が気になっていたはずです。何せ、巨大な電電公社を分割することで、市場に新規参入を促してきたこれまでの政策とは逆行することをやったわけですから。総務官僚の内諾は得ていたとしても、大臣が反対すれば頓挫しかねない。ところが、この会食後の年末、武田大臣のNTT再統合の何が悪いんだと言わんばかりのインタビュー記事が配信された。さもありなんと思いました」

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