橋本聖子“新会長”に永田町で「気の毒だ」の声多数 最初から最後まで人材難の裏

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断れない性格

 産経新聞(電子版)は2月18日、「安倍前首相『火中の栗を拾ってもらうことに…』 橋本新会長にエール」との記事を掲載した。

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 新会長人事を巡る裏事情を知れば知るほど、この安倍晋三・前首相(66)の発言は興味深い。

 ご存知の通り、東京五輪・パラリンピック組織委員会は同日、理事会などを開き、橋本聖子・前五輪相(56)を新会長に選出した。

 新会長の誕生を安倍前首相は《火中の栗を拾ってもらうことになったが、橋本氏は(東京五輪の)誘致から関わり、五輪の知識もオリンピアンの経験もある》とし、日本が国際的な信頼を回復できるのではないか、とエールを送った。

 ここで「火中の栗を拾う」の意味を「広辞苑 第七版」(岩波書店)で調べてみると、この説明もなかなか興味深いのだ。

《(ラ=フォンテーヌの寓話から)他人の利益のために危険をおかして、ばかなめにあうこと。あえて危険に身を投ずること》

 広辞苑の定義を当てはめれば、橋本聖子新会長は「他人の利益のために危険をおかして」就任し、その結末は「ばかなめにあう」ということになる。

「小谷さんでは無理」

 これは思ったほど荒唐無稽なものではなく、実状に近いところがあるという。政治担当記者が解説する。

「自民党の幹部クラスからも、『橋本さんは、とんだ貧乏くじだよ』、『気の毒だ』と同情の声が聞こえるほどです。何しろ世論調査では、東京五輪の中止か延期を求める意見が過半数を占めています。彼女が会長として五輪を今夏に開催しようと奮闘しても、世論の支持がどれだけ得られるかも分かりません。確かにこれは“貧乏くじ”でしょう」

 スポーツ報知(電子版)は2月17日、「小谷実可子氏、五輪組織委新会長へ今日にも正式要請…武藤事務総長一本化の可能性『ある』」との記事を報じた。

 組織委のスポーツディレクターを務める小谷実可子氏(54)が新会長の有力候補とする記事だ。

 小谷氏は高校時代にアメリカに留学したこともあって英語が堪能。スポーツ報知は小谷氏が国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)を通訳なしでエスコートする姿を収めた写真を掲載した。

「イメージ的には最良の選択肢だったかもしれません。とはいえ、実務能力の問題を無視することはできないでしょう。組織委の回答はバッハ会長と折衝するのはもちろん、菅義偉首相(72)や全国の知事、有力な国会議員と交渉も進めなければなりません。やはり小谷さんには無理でしょうね」(同・記者)

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