「五輪中止報道」の記者、過去に「雅子妃は鬱病」記事を執筆 再延期はありえない?

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 延期された「東京五輪」の開会式まで半年を切った。そのタイミングを見計らったかのように、英国高級紙が「五輪は中止決定」との衝撃報道を放った。事実なら世紀のスクープに違いないが、記事を執筆した名物男には、過去にも世間を騒がせた前科があるそうで……。

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 やっぱりそうか……。この報道に接した人々の多くがそう感じたに違いない。

 1月21日(日本時間22日未明)、英高級紙「タイムズ」の電子版は、「日本、コロナのせいで五輪からの逃げ道を模索」と題した衝撃的なニュースを配信した。

 記事本文では、日本政府が非公式ながら「東京五輪を中止しなければならないとの結論を出した」と書き、

「彼らの目下の課題は、開催枠が未定の(2024年パリ、28年ロサンゼルスの後に行われる)32年五輪での実施を確保することだ」

 と続けた。同紙はその根拠として「連立与党の古参議員の一人」が政府内に漂う“本音”を、以下のように話したとも明かしている。

「すでに1年延期された大会の開催は、もはや絶望的だとの認識で皆が一致している。焦点は東京都が後日、五輪を主催できる可能性を残した格好のままで、メンツを保った形で中止発表できる道を模索することだ」

「誰も最初には言いたがらないが、開催は難しいとの考えで一致している。個人的にも開かれないと思う」

 つまりは、日本政府として来る7月の五輪開催は中止を内々に決定。今後は開催都市が決まっていない32年に実施したい。そう決まったと踏み込んで報じたのである。

 世界最古の歴史を誇る日刊紙「タイムズ」が放ったスクープだけに、その影響は計り知れない。開会式まで半年を切った段階で、未だに開催についてまったくもって不透明なことも手伝ってか、この記事は瞬く間に全世界を駆け巡った。

 まずはロイターやAPなどの通信社が速報を流し、次いで「タイムズ」と肩を並べる英高級紙「ガーディアン」をはじめ、米誌「ニューズウィーク」などの欧米メディアも一斉に、「東京五輪は中止になる」と追随したのだった。

 すぐさま兜町も反応し、当該記事の配信日における日経平均株価は反落。終値は前日比125円41銭安の2万8631円45銭で、五輪効果が期待された広告代理店や鉄道・航空関連の銘柄が軒並み売られたのだ。日本の大手メディア各社による世論調査でも、今夏の五輪開催は8割近くが再延期や中止を求め否定的。なおのこと世論が悲観論に傾いたことは否めない。

「フェイクニュース」

 こうした流れに抗うべく反論したのは、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長だった。「タイムズ」報道の翌日、各国のオリンピック委員が集うオンライン会談で、「フェイクニュース」だと咬みつき、「開催に疑いの余地はない」と断言したのだ。

 名指しされた日本政府の面々も“沈黙は金”と言ってはいられない。内閣官房は「そのような事実はまったくない」との声明を発表し、バッハ会長と電話会談をした橋本聖子五輪相も「方針に何ら変わりはない」と報道を強く否定。東京五輪の組織委員会も「今夏開催へ注力している」とのコメントを出し、東京都の小池百合子知事に至っては「報道に抗議を出すべき」だと啖呵を切って見せた。

 とにかく火消しに躍起なのだが、記事を執筆した「タイムズ」紙の記者は、

「(反論について)それほど強い声明だとは思わない」

 と自らのSNSで呟き、記事への自信を覗かせているという。彼の名前は、リチャード・ロイド・パリー氏。「タイムズ」のアジア編集長・東京支局長として、19年にはジャーナリズムの向上に寄与したとして「日本記者クラブ特別賞」を授けられ、外国人特派員のみならず海外報道に携わる日本人ジャーナリストの間でも知られた“名物男”らしい。果たしてこの報道は間違いないのだろうか。

「パリーさんは、日本だけでなく東南アジアのスペシャリストで現場に足を運び取材する。いい加減なことを書く人ではないですよ」

 と太鼓判を押すのは、さる東京在住の外国人ジャーナリストだ。

「英国に生まれ、オックスフォード大卒の秀才で、1995年に来日したそうです。歯に衣着せぬ質問をする記者で、14年に外国特派員協会で拉致担当相として呼ばれた山谷えり子参院議員に対し、ヘイトスピーチ集団との関係を執拗に聞いて大荒れとなった。以来、自民党はこの種の会見を警戒するようになったそうです」

 東京を中心に取材活動をしているが、

「ルーシー・ブラックマンさん殺人事件や、大震災の津波に関する本を書いて邦訳もされています。地下鉄サリン事件の2日後に来日したことがきっかけとなり、オウム真理教や皇室など社会のタブーに興味を持つタイプの記者です」(同)

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