NHKが制作した端島炭鉱(軍艦島)ドキュメンタリーに重大疑惑 検証を望む声

国内 社会 2020年11月20日掲載

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“負の歴史”を捏造!?

 一般財団法人「産業遺産国民会議」と、「真実の歴史を追求する端島島民の会」は11月20日、NHKが長崎県の端島炭鉱(軍艦島)を描いたドキュメンタリー作品「緑なき島」(1955[昭和30]年放送)に登場する坑内の映像が、端島炭鉱とは無関係である可能性が高いという調査結果をまとめ、検証動画を公式サイトで発表した。

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 動画は約21分あり、端島炭鉱で働いた経験を持つ元島民などの証言が紹介されている。

「緑なき島」に登場する坑内作業者が裸だったり、ヘルメットにキャップランプを装着していなかったりする点などを疑問視している。調査は産業遺産情報センター(東京都新宿区)でセンター長を務める加藤康子氏が主導した。

 2015年、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」がユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に登録された。

 ところが韓国は当初から「長崎造船所や端島炭鉱などの施設で韓国人が徴用され、多くの犠牲者を出した」とし、全23施設のうち7施設の申請撤回などを求めていた。

 世界遺産登録時、UNESCOの諮問機関・イコモス(ICOMOS:国際記念物遺跡会議)の勧告の1つとして、「歴史全体について理解できる説明戦略」が日本側に求められた。

 これを受けて今年6月、内閣官房が産業遺産情報センターを開所した。産業遺産の歴史や意義を展示で分かりやすく説明したほか、センター長の加藤氏が中心となって行った一次資料の収集、元島民の証言などがアーカイブ化されている。

 加藤氏が端島炭鉱の実情に関して豊富な知識を持っていることから、元島民と共に今回のNHKのドキュメンタリー作品「緑なき島」の検証も行うことになった。

良質のドキュメンタリー

 15年7月に文化遺産として登録されたため、NHKエンタープライズは同年11月に「緑なき島」と「科学ドキュメント 風化する軍艦島」(1979[昭和54]年)の2作品を収録したDVDを制作、現在も販売を行っている。

 加藤氏の調査によると、ドキュメンタリー「緑なき島」は1955(昭和30)年の11月17日、午後7時10分から30分まで放送された。

 今でいう“ゴールデンタイム”だ。NHKとしても自信作だったのだろう。加藤氏は「島の生活を記録した資料的価値が高いのは言うまでもありません」と評価する。

「島の日常生活を追った描写も素晴らしく、良質の短編ドキュメンタリー作品だと思います。ただ、大問題の1部分を除けばの話ですが……」

 文化遺産の登録が決定する際、日本側は韓国側の主張する「強制労働」の表現を退けることには成功した。

 その一方で、「労働を強いられた人々」が存在することは認めた。いわゆる玉虫色の決着というわけだが、読売新聞は「韓国側の“ごね得”を認めた」と批判した。

 端島炭鉱の元島民は、この政府の対応に不満を抱き、加藤氏に疑問をぶつけた。その過程の中で、彼女は元島民より「NHKの『緑なき島』というドキュメンタリーで、坑内作業の映像は間違いだらけだ」という指摘を何回か耳にした。

「ところがテレビ業界に詳しい専門家に話を訊くと、『天下のNHKドキュメンタリーで、やらせや捏造など虚偽映像を作るなど考えられない』と全否定されました。私もNHKには取材力があり、国民の受信料で制作をしているので、厳しい倫理規定の元に作成しているはず。島民の言葉だけで捏造とは断定できないと思いました。そこで、本格的な調査を保留にしていたのです」

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