NHKが制作した端島炭鉱(軍艦島)ドキュメンタリーに重大疑惑 検証を望む声

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判明した疑問点

 しかしどうしても島民の言葉が心にひっかかり、折を見ては、NHKエンタープライズが販売したDVDを何度も見た。そして今年になって、映像の矛盾点を見つけたという。

「NHKの取材班は、島内では実際にカメラを回しています。坑内に入る作業員の映像も本物で、作業服に身を包んだ男性たちが階段を降り、エレベーターで海底の炭鉱に降りていく様子が記録されています。ところが坑内に入ると、いきなり作業員は上半身裸になってしまうのです。『わざわざ作業服を着て坑内に向かったのに、坑内で服を脱ぐというのはおかしくないか?』と疑問が浮かびました」(同)

 コロナ禍の中、加藤氏やカメラマンは長崎など全国に飛び、元島民に「緑なき島」の視聴してもらい、その上でインタビューを行った。

「まず坑外と坑内ではヘルメットの形が違っていることが分かりました。また坑外ではヘルメットにキャップランプが装着されていたのに、坑内ではそのランプをはずしています。坑内は真っ暗でキャップランプなしに安全に作業はできません。更にガスが出る端島炭鉱では使用を禁止されていた裸電球が坑内にぶら下がっていました。NHKの映像では平らな坑道になっていますが、端島炭鉱の炭層は45度から60度の急傾斜なのでこんな坑道はないはず、と様々な疑問点が判明したのです」(同)

 国民会議と島民の会が作成した動画からキャプチャした写真をご覧いただきたい。「緑なき島」に登場する坑外の場面では、作業員は制服に身を包み、ヘルメットにキャップランプが装着されていることが分かる。

 ところがカメラが坑内に入ると、急に作業員は上半身裸となってしまい、ヘルメットのキャップランプも姿を消してしまっている。

“真っ白”な作業員の嘘

 端島炭鉱で働いた元島民は口を揃え、「これは他の炭鉱で撮影したとしか考えられない」と指摘した。

 しかし、だからこそ疑問が生じる。取材班が島内でカメラを回したのは紛れもない事実だ。わざわざ坑内だけ、他の炭鉱で撮影する必要があるのだろうか?

「端島炭鉱の総務課に勤務していた男性が、『坑内の撮影を許可した記憶がない』と証言してくれたことが謎に迫る鍵になったと思っています。端島炭鉱はガスが多く、ガス爆発や炭塵爆発の危険もあり、撮影の許可が下りなかった可能性があるのです」(同)

 坑内の映像がなければ、番組として価値が落ちる──。ここまで判断したかは分からないが、「緑なき島」で登場した“端島炭鉱の坑道”という映像は、福岡県内に点在した小規模の炭鉱を連想させるという証言も相次いだ。

「端島炭鉱の記録を見ると、採炭現場から帰ってきた作業員は粉塵で真っ黒です。ところがNHKの『緑なき島』では、坑内の場面で登場する作業員は、裸の上半身も褌も真っ白です。この人々は一種の“エキストラ”だった疑惑も出てきました」(同)

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