10歳年下の彼女が、ある日突然、私の妻にやったこと… 定年間際に狂い咲いた男の末路

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離婚する気はなかった、だが彼女とも別れたくなかった~狂い咲いた男の末路とは

 20年ほど前、『不倫の恋で苦しむ男たち』を上梓した。遊びではなく、真剣に恋愛をしてしまった既婚男性たちはいずれも不器用で、「身勝手だとわかっているけれど苦しい」と訴えていた。

 それからずっと男女問わず、不倫関係にある人たちを取材してきた。20年前と今と違うのは、「男性たちがより真剣に恋愛するようになった」ことだ。ある意味では、どうがんばっても自制心が効かなくなる瞬間があるということでもある。そして妻も、不倫相手の女性も「我慢しなく」なっているのが最近の特徴だ。携帯電話を経てスマホの時代になり、ますます不倫はしやすい現状がある。不倫にはまった男たちが、どう思っているのかをルポしていきたい。

ずっとまじめに生きてきたのに

「うちの父親、取材してみてくださいよ」

 年下の女友だちであるケイコからそう言われたのが2年前。彼女に聞いたところによると、父・タケオさん(仮名=以下同・当時58歳)の女性問題で家庭は崩壊の危機に陥っているという。

「私はもう独立しているので夫婦の問題には絡みたくないんですが、あんなにまじめだった父が激変したのが意外だったんです。ここは第三者の目で見聞きしてもらったほうがいいかと思って」

 早速、タケオさんに会って話を聞いた。彼自身、行き場のない情熱を持て余していたのか、娘から話を聞いていたのか、すぐに会いましょうということになった。

 タケオさんは当時、結婚29年、長女ケイコは28歳、長男が26歳。ケイコはすでに家を出てひとり暮らしをしており、長男は自宅から通勤していたが出張も多く、実質、夫婦ふたり暮らしの状態だった。

「私は大学を卒業して大手企業に就職、それからは人事一筋、自分でいうのもなんですが、まじめに仕事をしてきました。趣味もなく、友だちもそれほど多いわけではなかったけれど、家庭も円満でした」

 娘のケイコに言わせれば、「父はまじめ一辺倒、母は少し抜けたところもある愛嬌のある性格。両親は仲がよくて、ちょっとした口げんかをしてもすぐに仲直りしていた」というからタケオさんの言うことは本当なのだろう。

「子どもの成長だけが楽しみでした。ケイコは何の心配もなかったけど、息子が中学生のころ一時、不登校になりましてね、夫婦で力を合わせて学校側といろいろ話し合って、なんとか切り抜けた。その後、息子は希望の高校、大学へと進学、それが本当にうれしかった」

 タケオさんは相好を崩す。どこにでもいる「普通のお父さん」「家族思いのお父さん」である。

 そんな彼に異変が起きたのは、56歳のとき。派遣会社から職場にやってきた46歳の女性と「わりない仲」になってしまったのだ。

「相手も家庭のある身です。私は過去に一度も浮気などしたことがありません。それなのに、毎日、彼女と接して会話を交わしているうちに、今まで感じたことのないような感情が自分の体の奥からあふれてくるようになりました」

 妻とは友だちの紹介で出会って意気投合、1年半ほどつきあったところで結婚を決めた。この人となら家庭生活をうまくやっていけると考えたからだ。そして事実、そうなった。ところが妻に対して感じたことのないような「キラキラしたもの」を彼女に見てしまったのだとタケオさんは言う。

「中学生のころにしていた片思いを思い出しました。会いたい、でも会っていても苦しい、自分からはどうにもできない悶々とした感情を」

 それが「恋」だと気づくまでに少し時間がかかったという。とはいえ、互いに家庭がある。職場で不倫などということになったら、定年を控えて晩節を汚すとタケオさんは考えた。

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