中曽根元首相への弔意要請は思想統制? 文科省文書を調べて分かった意外な事実

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

「葬儀」による前例

 この35人のうち死去した元首相は23人。中曽根元首相を入れても11人しか文科省に記録が残っていないのはなぜなのか。

 元首相たちの「葬儀」を調べてみると、その謎を解く鍵があった。

 東京新聞は10月1日の朝刊「こちら特報部」で、「中曽根元首相合同葬に違和感(上)」の記事を掲載した。

 この記事の中で、中曽根元首相のように《内閣・自民党の合同葬》が行われた元首相として7人の名前が列挙されている。

《合同葬は、1980年7月の大平正芳元首相が初。以降、岸信介(87年9月)、福田赳夫(95年9月)、小渕恵三(2000年6月)、鈴木善幸(04年8月)、橋本龍太郎(06年8月)、宮沢喜一(07年8月)の各氏も実施されている》

(註:漢数字を半角洋数字に改めるなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)

 文科省に文書が残っていた小渕、鈴木、橋本、宮沢の元首相4氏が含まれている。更に岸、福田の2氏も“詳細不明”のメモに名前があった。

岸元首相も弔意要請

 更に、メモに名が残っていた吉田元首相と佐藤元首相には以下のような記述がある。

《サンフランシスコ講和条約締結時の首相だった吉田茂氏は、閣議決定により戦後唯一の国葬(1967年10月)となった。沖縄返還を果たした佐藤栄作氏は内閣、自民党、国民有志による合同葬(75年6月)だった》

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が、三木元首相と福田元首相の死去でも、国立大学に弔意表明が求められたことを明らかにしたのは冒頭で紹介した通りだ。

 石渡氏は10月15日、YAHOO!ニュース個人で記事「元首相への弔意通達が思想統制につながる?~元首相葬儀・大喪の過去事例を振り返る」を配信している。

 この記事で、新聞記事のデータベースを活用し、事実を“発掘”したことを紹介している。そこで同じように編集部のデータベースを使うと、興味深いことが分かった。

 まず岸元首相だが、中日新聞の記事に以下の記述があった。

《1987年9月、岸信介元首相の内閣・自民党葬に際し、岐阜大では弔意を示す半旗の実施をめぐり大騒ぎになった》(出典:註1)

次ページ:10人は“前例”が確定?

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[3/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。