中曽根元首相への弔意要請は思想統制? 文科省文書を調べて分かった意外な事実

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宮沢元首相の“例外”

「更に、弔意表明の閣議決定が行われたものの、『政府部内の弔意表明に限る』とされ、国立大学に弔意表明を求めなかったものが1例ありました」(同・担当者)

 こちらは07年に死去した宮沢喜一元首相(1919~2007)だ。

 なぜ「政府部内」に限ったのか、理由を記した記録はなかったという。文科省の担当者は「ご遺族のご意向、などの可能性が考えられます」と推測する。

 確かに傍証はある。在任期間が1年を超える首相経験者は大勲位菊花大綬章を受勲することが慣例となっているが、「本人の意向」という理由で、宮沢元首相の遺族は受勲を断っている。

「残りの6例はメモだけが残されています。実際に国立大学に弔意を求めたかどうかは分かりませんが、閣議で弔意を表明すると決定した可能性は高いと考えられます」(同・担当者)

メモの内容

 メモの記載内容を、こちらも古い順にご紹介する。

 1例目は1967年に死去した吉田茂元首相(1878~1967)。

 2例目は75年に死去した佐藤栄作元首相(1901~1975)。

 3例目は80年、在職中に急死した大平正芳元首相(1910~1980)。

 4例目は87年に死去した岸信介元首相(1896~1987)。

 5例目は88年に死去した三木武夫元首相(1907~1988)。

 6例目は95年に死去した福田赳夫元首相(1905~1995)。

 戦後の首相といえば、1人目はポツダム宣言受諾の3日後にあたる1945年8月17日に任命された東久邇宮稔彦王[後に東久邇稔彦]元首相(1887~1990)だ。

 80年に臨時代理を務めた伊東正義元副総理(1913~1994)は15人目で、現在の菅義偉首相(71)は35人目になる。

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