向精神薬とアルコールで現実逃避する人たち…コロナ失業で不安、鬱の症状が

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乱用者は今後増大する恐れ

「不安からオーバードーズに陥ることはよくあります」と話すのは精神科医の片田珠美氏。

 片田氏によると、新型コロナの流行以前にも、処方された抗不安薬だけでは不安を抑え切れず、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬とアルコールを同時に摂取する患者は少なくなかったという。今後、コロナの感染拡大によって健康や命を奪われたり、景気悪化によって仕事や収入を失ったりする不安から乱用者は増大するのではないかと推測する。

 実際、片田氏のもとには現在、新型コロナに感染するのではないか、コロナの影響で職を失うのではないかという不安から受診する患者が増加しているといい、不安を紛らすための向精神薬の乱用に拍車がかかる可能性もあると話す。

「客と触れ合う機会の多いサービス業従事者は、感染への不安が強いでしょう。とくにコロナ禍によって売り上げの落ち込んだ飲食業や観光業では、仕事や収入を失うのではないかという喪失不安も覚える人が多いのではないでしょうか」(片田氏)

 向精神薬は違法薬物とは異なり、医師から処方された合法薬物だ。それだけに問題はより厄介といえる。

畑中雄也(はたなか・ゆうや)
1980年生まれ。出版社、新聞社勤務を経て現在は食品製造業を経営。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月20日掲載

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