韓国洪水…“言い訳”番長な省庁、セウォル号に学べない国民の「安全不感症」

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文在寅大統領は、就任直後に国民安全処を解散した

 日本企業の技術を目の当たりにしたソウル市は、東京都に泣きついた。
 東京都は、地下空洞の原因把握や調査方法、対応マニュアルや応急処置、復旧技術を提供する。一方、ソウル市はIT技術を活用した道路陥没情報をリアルタイムで伝達する技術を供与することになった。
 ソウル市のIT技術は、ボランティアのタクシー運転手が車載端末で道路の陥没を報告し、GPS(衛星利用測位システム)で情報を集約する仕組みである。発生後に情報を集めるもので、未然に防ぐ効果はない。

 セウォル号の沈没事故を受けた朴前政権は首相直轄の国民安全処を創設した。消防防災庁や海洋警察庁など、複数官庁にわかれていた業務を集約して大規模災害に対処する組織である。
 年間予算3兆億ウォン、1万人以上の巨大組織で、首相の指揮のもと事故や災害に対応する。
 国民安全処はセウォル号が沈没したとき、何もできずに批判を浴びた朴前政権のひとつの回答だった。

 文在寅大統領は、就任直後に国民安全処を解散し、安全対応は日本の省庁に相当する部処間のなすりつけ合いが復活した。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月19日掲載

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