韓国洪水…“言い訳”番長な省庁、セウォル号に学べない国民の「安全不感症」

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北朝鮮のミサイル発射に関連した訓練でも不感症に

 2014年4月16日、仁川港から済州島に向かう大型旅客船セウォル号が沈没し、修学旅行生250人を含む295人が死亡、9人が行方不明となった韓国史上最大の海難事故も安全不感症が背景にあった。

 不適切な改造に加えて救命ボートの不備など安全対策が不十分で、船長やベテラン乗組員は早々に退避した。乗客への避難誘導は行われず、退避を促す船内アナウンスは船が傾いてから1時間半後。教育庁が事故発生の4時間半後に生徒と教員は全員無事だと誤報を出すなど政府機関も混乱を極めた。

 大きな事故が発生すると、各交通機関は安全対策を再確認するが、沈没事故から間もない同年5月2日、ソウルの地下鉄で追突事故が発生した。車両に不具合が生じて停車していた列車に後続列車が追突したのだ。
 後続列車の急ブレーキは間に合わず、前の列車は連結器が破損して後続列車は脱線し、238人が重軽傷を追った。アナウンスや避難誘導はなく、約1000名の乗客がドアを開けて避難。さらに甚大な事故が発生する恐れがあった。

 道路の陥没事故も多発した。2014年7月にソウル近郊の議政府市で歩道が陥没し、歩いていた30代の女性が転落。15年2月には、ソウル龍山駅近くのバス停でバスから降りた乗客2名が突然陥没したシンクホールに落ちた。深さ約1メートルの陥没に走行中の乗用車が落ち込む事故もあった。道路陥没に伴う交通事故は、10年で2000件を超えている。

 国民やマスコミは安全を政府に要求するが、その国民にも安全不感症が蔓延している。
 2010年と2014年、北朝鮮との国境で銃撃戦が起きたとき、市民は何事もなく談笑していた。2010年はソウルから110キロ、14年は40キロしか離れていない場所での軍事衝突を地球の裏側で起きているかのように眺めていた。

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