北朝鮮「韓国への軍事行動保留」報道の読み方、“金与正軟禁”もある軍クーデター説

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注目すべきは労働新聞の社説

 保守派は大統領職の辞任を求めたが、ゴルバチョフ氏は拒否。そのためゴルバチョフ氏は別荘に軟禁され、ヤナーエフ氏が大統領代行となり、非常事態宣言が発令された。

 後にロシア連邦の初代大統領に就任する、改革派のボリス・エリツィン(1931~2007)とロシア市民が徹底抗戦の構えを示し、クーデターは失敗に終わった。

 一方、北朝鮮の情勢は、まだまだ流動的だという。「予備会議」を一種の口実に使い、限られた軍の高官で決定してしまった。裏を返せば、与正を支持する勢力が依然として存在することも浮かび上がる。

「興味深いことに、予備会議を伝えた労働新聞の記事は、会議招集者の“主語”が綺麗に抜け落ち、金正恩氏は司会をしただけとしています。もちろん正恩氏に司会が務まるような健康状態なのかという疑問があるわけですが、どういう面々が『対韓国の軍事行動は行わない』と決めたのか、対外的に発表できる段階ではないということでしょう」(同・重村教授)

 重村教授が最近の労働新聞を調べると、与正の発言や行動で、社説に掲載されたものは何一つないという。

「労働新聞の社説は、北朝鮮の最高位だけが内容の指示を下すことができます。このことからも、金正恩氏は声が出せないほど健康状態が悪化していることと、与正氏が権力を握っていないことが浮かび上がります。それこそ彼女と親しい勢力は、相次いで逮捕、拘束されているとしても不思議ではありません」

 今年、北朝鮮は食糧事情が逼迫しており、例年以上の深刻なレベルに達しているという。しかし国の上層部は、権力闘争に明け暮れている。こうなると旧ソ連を上回る醜態と言えるのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

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