コロナ禍に不要不急の美容整形 28歳女性が33万円で“お直し”した部位は

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「ツーンという痛みがずっと継続するんです」

「最初は『あれ……? 痛い……?』程度の強さだったのが、『あ、これ痛い』に変わってきて冷や汗が出てきました。でも時間が経てば収まるものだと思ったし、あの気さくで優しい担当医に心配かけたくないという気持ちもあって、ハンバーガー店を出て地下鉄の駅から家に帰ろうとしたんです」

 だが、ホームへ向かう長い階段を下りているときに我慢できなくなり、歩くのも立つのも困難になったという。半泣きでクリニックに電話をするも、迎えに来てもらえるわけでもなく、意識が遠のきそうになりながら来た道を引き返した。術後の縫合が甘かったようで、患部に血がたまっており再手術をすることになった。

 その日は処方された痛み止めのロキソニンを飲み早めに寝たが、翌朝目が覚めた瞬間から再び痛みを感じ始めた。

「1回目の手術後に感じた、ナイフをあてられているような痛みが続きました。ツーンという鋭い痛みがずっと継続するんです。立てないほどではないですが、今まで感じたことのない種類の痛みでした。場所が場所なのでしんどかったです。また、患部から血が出るため、1週間ほど生理用ナプキンをつける生活が続きました。清潔を保つために2時間おきに取り替える必要があるのですが、傷口がナプキンとくっついて、ベリっとはがすときとても痛かったです。術後2日は本当に辛かった……。しばらくはまともに歩けませんでしたし、時間が自由に使える外出自粛期間中じゃないとオペは難しかったなと思いました」

整形で人生を前向きにすることができたと言うが…

 コロナ禍の外出自粛を逆手にとり、33万円の大枚をはたいて性器を整形した渋田さん。長年のコンプレックスを解消して何か見える世界が変わっただろうか。

「他者に対する想像力が高まりました。私の場合は、他人から見えない部分を整形したわけじゃないですか。もしかしたら、人は誰しも見えないコンプレックスを抱えながら生きているんじゃないかなと思うようになりましたね。私は体のコンプレックスのせいで小さい頃から自己肯定感が低かったので、初めて会った人とかが少し様子がおかしかったりすると、『何か辛い過去があったのかな?』と想像できるようになりました。余計なお世話かもしれないですけど。

 それに、この手術をきっかけに、仕事をもっと頑張ろうと前向きな気持ちになれました。これから全身脱毛もしたいし、お尻にある大きなほくろも取りたい。自分で稼いだお金でコンプレックスを解消していくってすごく健全なことだと思いますし、悩んでいた頃の自分が報われるような感覚もあります。幸せな人間って、きっと周囲の人にも幸せを還元できると思う。もっとコンプレックスを解消しながら、周囲の人も自分も大切にしながら生きていきたいです」

 彼女の美を追い求める姿勢自体は至極ポジティブだ。だが、家族や身近な人を感染リスクにさらしてまで行うことだったのだろうか。

 コロナ禍という非常事態に、見えない部分のコンプレックスを解消した渋田さん。見えないウイルスとの闘いはまだまだ続く。

文=万亀すぱえ

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月23日掲載

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