平壌で反日を叫んだ尹美香と北朝鮮、文在寅の蜜月コネクション、脱北者が語る

国際 韓国・北朝鮮 2020年6月23日掲載

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夫は「兄妹スパイ事件」の当事者

 1998年に北朝鮮を脱出した著者は、韓国に2002年から住むことになった。当時もっとも衝撃的だったのは、「韓国では、北朝鮮を追従する勢力(左翼的団体)が信じられないほど多いものだった」ということ。そして、“慰安婦おばあさん”から告発を受けた尹美香とその夫こそ、北にとってはどこまでも頼もしい存在だろうと分析する。逆もまた真なりで、尹夫婦もまた北という大援軍の存在を大いに意識しており、「尹夫婦」を「文在寅大統領」と置き換えても成立すると指摘するのだった。

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 大韓民国が今、騒がしくて仕方がない。

 慰安婦、李容洙(イ・ヨンス)さんに続いて、尹美香(ユン・ミヒャン)という名前が連日リアルタイム検索ランクのトップを争っている。

 改めて尹美香の経歴をたどると、韓国キリスト教長老会幹事とあり、イエスを信じる人であり、ヨシンドフェ全国連合会幹事(キリスト教女性信者会全国連合会)でもある。そしてその活動のハイライトは、1992年にトップに就いた「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」である。

 尹美香は不当に日本軍に連行されて、女性の尊厳と人権を悲惨に踏みにじられたと証言したおばあさんたちの心を代弁すると言い、過去およそ30年の間、その道を歩いた。

 長い年月、毎週水曜日、彼女は生存する慰安婦と一緒にソウルの日本大使館前で集会を開き、「人権、正義、謝罪、補償」と絶え間なく叫んだ。

 生存する慰安婦と尹美香とは、一心同体の30年を過ごしてきたと誰しもが思っていた。周りもいつのまにか尹美香のいない「挺対協」を想像することができなくなっていた。

 韓国での挺対協のプレゼンスは極めて大きく、地位は高く、彼らの道徳性に異議申し立てをする者はいなかった。慰安婦たちのために戦うという尹美香は、誰よりも道徳と良心の人である(ように見えた)。そしてそれらは、被害意識の強い韓国国民にとって、挺対協を盲信するのに十分な根拠になっていたはずだ。

 ところが、正義の味方だった彼女の名前が突如、一人の慰安婦おばあさんの告発で疑惑のデパートと化して大韓民国のニュースを飾っている。本人の個人口座で寄付金を募ったという事実から、見えにくくて大きく、そして深刻な疑惑が雪だるまのように膨らみつつある。

 純粋な心で寄付をしていた人はもちろん、大多数の国民は裏切られた気持ちだろう。しかし、すでに国会議員という身分を勝ち取った彼女が恐れるものはないように見える。

 脱北者と言う立場で、慰安婦問題にそれほど詳しくない私は、今回の事件をきっかけに尹美香とその夫・金三石(キン・サムソク)を調べ、慰安婦問題を紐解いてみた。(北朝鮮内で、慰安婦問題も徴用工問題も教育を受けるが韓国ほど長く時間をかけるものではない)。

 夫・金三石もその経歴の派手さでは妻に劣るところがない。

 1993年の「兄妹スパイ事件」の主人公である夫は、妹ともども在日朝鮮人スパイに篭絡されて工作資金を受け、軍事機密を北朝鮮に渡した罪で捕まり、刑務所で服役した。彼は今でも「兄妹スパイ事件」は何者かにより操作されたものと主張する。しかし、それをどう信じればよいのか。

 尹美香と金三石の夫婦は、数年前、集団脱北して韓国に定着した脱北者たちに、「脱北は罪になるので、北朝鮮に帰れ」と告げたという。そう! 話題の慰安婦おばあさんのために建てたという疑惑の「憩いの場」で起こった出来事である。自由を求め、命をかけて韓国に来た人たちに、罪人という烙印を押して送り返そうとすることは、真の社会活動家と言えるのか?

 また、金三石には、国家転覆の意図を持ち、議員活動までしていた昔の統合進歩党議員:李石基(イ・ソッキ)のような人脈が連なっていることもわかる。李石基は、2013年に内乱陰謀などの容疑で逮捕された人物だ。

 自由民主主義の恩恵を受けて生きる人間が、その中でも特に慰安婦の人権を叫ぶ者が、実際にはどのような目的のために、南北どちら側に立とうとしているのか? 自明のことだった。

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