コロナ禍で面会禁止に 「末期がん患者」と家族をつないだ「オンライン面会」
末期がんなどで入院中の患者にとって、家族との対話やふれあいは大きな心の拠り所である。が、コロナ禍によって多くの病院で原則面会禁止となり、患者は心の支えを失うことに。これに対して、現場の医師が講じた秘策とは……。
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「面会制限が厳しくなるにつれ、患者さんの表情は暗く沈んでいきました」
東京都台東区の永寿総合病院のがん診療支援・緩和ケアセンター長、廣橋猛氏はそう語る。同病院では大規模な集団感染が発生。感染者が出ていない緩和ケア病棟も面会禁止になった。
「余命少ない患者さんの痛みを少しでも和らげるのが緩和ケアの役割ですが、ここで言う『痛み』には物理的な痛みだけでなく心の痛みも含まれます。物理的な痛みは薬で抑えることができますが、寂しさや辛さといった心の痛みは薬だけではどうにもならない。そういった痛みは人との関わりで緩和していきたいのですが、新型コロナはそれを奪ってしまいました」
そんな状況の中、10名ほどの患者がほとんど家族と面会できないまま死去。中には、全く面会できず、久々の再会が霊安室となったケースもあった。
「本来、緩和ケアでは患者さんが亡くなった後の時間も大切にしていて、希望するご家族とは看護師と一緒にご遺体をきれいにしていただくなどゆっくりとお別れの時間を過ごせるようにしています。が、このコロナ禍ではそうした時間を十分に取ることもできない。ご家族は『こういう状況だから仕方ない』と理解して下さっていますが……」
残された最期の時間を家族と過ごすため、緩和ケア病棟を出て在宅ケアに切り替える患者も多かったという。しかし、皆がそうできるわけではない。
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