コロナ禍で面会禁止に 「末期がん患者」と家族をつないだ「オンライン面会」

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一家団欒

「そういう方々のために始めたのが『テレビ電話面会』です。面会制限が厳しくなった3月頃に自前のタブレットを使って実施することにしました。テレビ電話なので直接触れ合うことはできませんが、患者さんもご家族もお互いの表情を見られることがとてもうれしいようです。患者さんの表情もパッと明るくなり、『こんなに幸せなことはないよ』とおっしゃる方もいました」(廣橋氏)

 オンライン面会ならではのメリットもある。

「ある患者さんのご家族は近くに住んでいる方と遠方に住んでいる方がいてなかなか一緒に面会に来ることができなかった。ところがテレビ電話面会はグループ通話ができるのでご家族みんなの表情が見られる。皆さん賑やかに、久しぶりの一家団欒の時を楽しんでいるようでした」(同)

 また、特に女性の場合、入院中も自宅の様子が気になる患者も多いというが、

「テレビ電話なら家の様子も映すことができ、ご家族が声をかけるととても安心した様子でした」

 と、廣橋氏。

「さらに、予想していなかった効果もありました。ある患者さんはご家族と仲たがいしてしまって長らく疎遠の状態が続いていました。が、『オンラインなら』とテレビ電話面会をされ、お互いの顔をご覧になって仲直りされたのです」

 廣橋氏は他の緩和ケア医らとともに、全国の病棟へのタブレット端末導入を目指してクラウドファンディングを行っており、5日で1千万円が集まった。「コロナ後」の面会手法として定着するかもしれない。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

特集「逆襲の『コロナ』」より

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