「田中角栄」と「安倍晋三」を比べたら コロナ対応を“シミュレーション”

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 サイズの小さい「アベノマスク」を着け続ける安倍総理。その妙な頑なさを見ているだけでも、この人で大丈夫なのかと不安になる。では、どのような人物がリーダーなら国民は安心できるのか。伝説的政治家・田中角栄がもしも生きていたら――というシミュレーションを行ってみると、理想のリーダー像が見えてきた。

危機に直面した時、リーダーの姿勢や、発する言葉が極めて重要になることは言うまでもない。

「角栄さんは、国民から批判を浴びそうなものも、そうでないものもきちんと誠実に説明する方でした」

 と、角栄の元番記者で新潟日報社長の小田敏三氏は言う。

「今回、安倍さんが批判されているのは、マスク配布、PCR検査、検察庁法改正案、どれを取っても誠実な説明がないから。国民は何かを隠されているのではないかと疑ってしまいますし、政権に対して信頼感、安心感を持てません。角栄さんにだってもちろんやれることとやれないことがあったでしょうが、やれないことはやれない、とはっきり説明したはずです」

 無論、角栄はパフォーマンスにも興味がなく、

「安倍さんのように自分が自宅でくつろぐ様子を動画で配信しようだとか、小池百合子都知事のように、イギリスのジョンソン首相を真似て『ステイホーム』『東京アラート』などと口にするような発想は一切なかったでしょう」

 そう語る小田氏は、次のような角栄の言葉にこそ、政治家としての姿勢がよく表れている、と指摘する。

「政治とは生活だ。政治の仕事は国民の邪魔になる小石を丹念に拾って捨て、国でないと壊せない岩を砕いて道をあける。それだけでいいのだ。政治家は目立たず国民の後ろに控えていて、三度の飯を食べさせられたらそれでいい。政治は吹き過ぎていく風でいい」

 同様の姿勢で仕事をしている政治家が今、永田町にどれくらいいるだろうか。

「角栄さんは、ある時は政界に影響力を持ち続ける闇将軍、ある時はロッキード事件の刑事被告人である金権政治家、またある時は新潟の貧しい家から高等小学校卒で総理大臣にまでなった今太閤と、まるで多面体のようにいろいろな見方ができる政治家です。しかし、角栄さんが政治家としてとても真摯であったことは間違いありません」

 と、小田氏は続けて語る。

「政治とは、決して上から目線ではなく、国民が苦労して汗をかいた分だけ報いなければならない、という考え方を角栄さんは持っていた。角栄さん本人が戦争を経験し、戦後、高等小学校卒で建設会社を興し、苦労してきた方なので、人の痛みや苦しみが分かる。だからこそ彼の言葉には説得力があったのだと思います」

 そんな角栄とて、今回のような未曾有の災禍を前に、たった一人で戦うことはできまい。

「たとえ政敵であっても、きちんと対話できるのがオヤジさんでした。だから、オヤジさんだったら、コロナに打ち勝つためにまず内閣改造をすると思います。何よりもコロナ対策を重視しなければならない今は、平時と考え方を変えて、挙党体制を作るはずです」

 角栄の元秘書の朝賀昭氏はそう話す。

「1973年の内閣改造で、オヤジさんは自分の右腕ともいわれた大蔵大臣の愛知揆一の後任に福田赳夫を任命しました。角福戦争といわれるほど激しく争った相手を抜擢したのです。当時は列島改造論やオイルショックによって、インフレ抑制策を取る必要に迫られていた。敵が外にあるなら、たとえ政敵であっても能力のある人物を登用すべきだと考えたのでしょう。そしてそう考えたらすぐに実行できる政治家だった」

 角栄がロッキード事件で逮捕された後、初めてのインタビューに成功したモンゴル日刊紙東京特派員の佐藤修氏は、

「角栄さんなら、コロナについて政治家が徹底的に議論し、党派を超えて対策を練る場、例えば、コロナ対策特別委員会などをすぐに用意したのではないか」

 と、語る。

「角栄さんは議員立法を通すことを重要視していましたが、ガソリン税を目的税にする議員立法は党派を超えて連携し、通しています。角栄さんは、実質的に自分が立案したけど立場上名前を載せなかったものも含めると110本もの議員立法に関わっている。道路整備を目的とした、いわゆる道路3法と呼ばれる法律や、貧困層に住宅を提供するための公営住宅法など、庶民の暮らしを良くしようとする法律が多かった」

 残念ながら現実の国会では、「党派を超えた連携」どころか、コロナとは無関係の検察庁法改正案を巡って与野党が激しく対立。最終的に安倍総理は採決を見送ったものの、

「コロナショックで与野党の協力が必要な時に、政治的に対立するような法案を出してくること自体、角栄さんなら『今は休戦しなければならないのだから出すべきではない』と怒るのではないかと思います」(先の小田氏)

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