全日本柔道連盟、代表再選考せず クラスターが影響か

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 全日本柔道連盟が、2月までに東京五輪代表に内定していた男女13選手の代表権を1年先まで維持する方針を固めた。

「マラソンや卓球などは、五輪延期決定後、早々に“代表維持”を発表しましたが、柔道では当初“再選考すべし”という意見が多かったんです」

 と大手紙柔道担当記者が明かす。

「層の厚い柔道界は1年で勢力図が大きく入れ替わりますからね。“金メダルが至上命令”というシビアな競技でもあり、ベストの人選が求められます」

 ところが、結論は“再選考せず”だった。一体どこで風向きが変わったのか。

「緊急事態宣言発出に加えて、全柔連で発生した“クラスター”ですね。19人が感染し、同じ建物にある講道館では死者も出ました。そもそも柔道は“3密”が避けられない競技ですが、身内が罹患したことでより一層“コロナ恐るべし”“再選考なんて無理”という雰囲気になりました」

 結果的にクラスターに救われた格好の13選手は一安心。だが、唯一内定が出ていない男子66キロ級については結論が先送りされた。

 実力が伯仲する丸山城志郎(26)と阿部一二三(22)は4月の大会で雌雄を決するはずだったが、コロナで中止となり、選考の目途は全く立っていない。しかも、

「丸山の練習拠点は奈良の天理大で、阿部は東京の日体大。奈良は既に緊急事態宣言が解除されたのに対し、東京では未だに解除されていません。今(5月18日現在)は全ての道場が稽古を中止していますが、早晩、両者の練習環境に大きな差が生じることになります」

 全柔連によると“仮に選考会までの準備期間がそれぞれ1カ月と2カ月だとしたら不公平”とのこと。

「そのため、両者ともに最低3カ月は稽古期間をとれるような日程で、選考会を設定するそうです」

 柔の道は茨の道。

週刊新潮 2020年5月28日号掲載

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