尖閣周辺で中国船が挑発行為、海上民兵による上陸作戦なら海自は手出しできず

国際 中国 2020年5月29日掲載

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ヘリコプターによる上陸作戦

 中国海警局所属の公船「海警」2隻が5月上旬に尖閣諸島の魚釣島領海に侵入し、付近の海域で操業中の日本漁船に接近した。以降、尖閣諸島周辺で日本領海へ接近・侵入する中国公船は、40日以上にわたって目撃された。

 そもそも、尖閣諸島を中国はどのように占領するつもりなのか? 以下に(問題点は多々あるにせよ、)考えられるシナリオを挙げることにする。

 尖閣諸島のどの島も周囲が岩場で囲まれているため、砂浜への上陸を想定しているエア・クッション艇(ホバークラフト)を用いての上陸は困難だろう。同様に陸自が保有するAAV7のような水陸両用強襲輸送車による上陸も難しい。このため、後述する漁船などの小型船の次に現実的な上陸手段は、ヘリコプターということになる。

 尖閣諸島が海保、海自の艦船で包囲されていたとしても、「防衛出動」下令前であれば撃墜される危険がないため、最も現実的と思われるのは、ヘリコプターを用いたヘリボーンとなるだろう(ヘリボーンとは、ヘリコプターを用いて敵地などへ部隊を派兵する戦術)。

 ヘリボーンによる占拠の目的は、ヘリコプターで特殊部隊などの先遣隊を派遣し、後続部隊の大規模な上陸作戦を支援するための海岸堡の構築である。しかし、実際には後続部隊もヘリボーンということになるため、大規模な兵員の輸送は難しい。

 ヘリコプターにより、まとまった兵員が輸送され、自衛隊の上陸を阻止するための海岸堡を構築できたとしても、大量の武器、弾薬等の補給を自衛隊の上陸作戦が実行される前に終えておく必要がある。その術を考えるとなると、あまり現実的ではない。

 そもそも前提として、こうした作戦を実行するためには、尖閣諸島周辺の制海権と制空権を確保しておく必要がある。実行する揚陸艦および機動部隊が、海自艦艇や空自戦闘機による対艦ミサイルによる攻撃を受けることになるためだ。

 ただし、中国海軍艦艇にも対空・対艦ミサイルが搭載されているため、日本にしてみても、機動部隊を構成する艦艇全てを壊滅状態にすることは難しい。また、海自や空自にも損害が発生する。

 中国軍が制海権と制空権を確保するためには、海・空自衛隊を大きく上回る戦力を尖閣諸島周辺に投入する必要がある。中国軍が制空権を確保するためには、F-15戦闘機(201機)、F-2戦闘機(92機)のうち本土防空の任にあたる戦闘機を除いた、大半の戦闘機を戦闘不能にしなければならない。

 中国軍は空自のF-15に相当する第4世代の戦闘機であるのSu-27を75機、Su-30を73機、J-11を200機、J-10を270機保有している。このため、質だけでなく量でも中国が圧倒的に有利なように思える。

 だが、大量の戦闘機を一度に飛ばすことはできない。中国本土のレーダー基地では航空機が捕捉できない遠洋において作戦を行うためには、数機(後述するように、東シナ海以外でも戦闘が行われるため)の早期警戒管制機(AWACS)による支援が必要となる。作戦の内容によっては空中給油機も必要となるだろう。中国はこれを可能とするAWACS(KJ-2000)を5機程度保有している。

 中国軍は空対空戦闘および艦対空戦闘により空自の戦闘機を撃墜してゆくわけだが、空自の戦闘機だけが一方的に撃墜されるわけではない。中国の戦闘機も撃墜されることになる。海自のイージス艦により撃墜される戦闘機も多いだろう。

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