「全国民にPCR検査を」は間違っている 「新型コロナ」最前線の医師が解説

国内 社会 2020年5月20日掲載

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不確かな情報を伝える前に考えてほしいこと

 A医師はこう続ける。

「個人としてどのような推理をするのも自由だとは思うのですが、メディアの方はそれを広める際にもう少しお考えいただきたいとは思います。

『PCR検査は実は簡単だ』という主張を、この数カ月必死で検査に従事している検査技師の方たちはどう聞くのでしょうか。私の知る限りではそんなに簡単な検査ではなく、かなりのスキルが必要です。将来的に簡易な方法が広まるのはとてもいいことですが、安易に『誰でもできる』みたいなことを言うのは、現在の検査技師の方々へのリスペクトを欠いています。

『本当の死者数は不明だ』という主張は、裏を返せば、現在診察をしている医師、検死をしている医師らは技量がない、あるいは陰謀に加担している、そのどちらかだと言っているのと同じことです。日本のシステム上、そうでなければ説明がつきません。これも医療関係者に感謝を、というメッセージの逆のような気がしますがどうでしょうか。

 先日、NHKに出ていらしたWHOシニアアドバイザーの進藤奈邦子さんは、日本の対応は世界的に高い評価を得つつある旨を語っていらっしゃいました。

 実際のところ、皆さんの自粛の効果もあり、この数週間で私の病院はかなり落ち着いてきています。『2週間後にはニューヨークになる』と言われてから1カ月くらい経ちましたが、あの頃よりもかなり余裕が出てきています。もちろん、個々ではお気の毒な亡くなり方をした方もいらっしゃるでしょうし、まだまだ改善したほうがいいこともあるとは思います。

 ただ、死者数を抑えることができて、感染者数を減らすこともできているのだから、大筋ここまでやってきたことは正しいと思っています。間違ってもどんどん検査拡充だ、全国民検査だ、みたいな変な方向に進むことはやめて欲しいと心から思います。

 もちろんまだ気を緩めるのは早いので,国や自治体の方針がどうであれ、以前と同じ生活に戻すのではなく必要最小限な行動を心がけていただきたいと思います。

 そして、少しでも風邪っぽいなと感じた時には、万が一を考えて学校や仕事を休む勇気をもってください。たとえ新型コロナでなくても、体調が悪い時に休むのは責められることではありません」

デイリー新潮編集部

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