ついに「屋内原則禁煙」開始で何が起こるか WHOの次の狙いは「お酒規制」

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 何もかもが消えてしまった。

 眞子さまと小室くんのご結婚問題は2月に「何らかのことは発表する必要がある」はずだったのにどうなったのだろう。「桜問題」の結末が悲劇だったのか喜劇だったのかもよく思い出せない。東出某が女性の尻を追いかけて東奔西走していたとかいないとかいう話に至っては、遠い目をして「そんなこともあったなあ」と呟く以外にない。

 そう、重要なこともそうでないことも全てが吹っ飛ばされたのだ。新型コロナウイルスによって……。

 4月1日、令和初の年度替わりを迎えるが、ウイルス以外のことは全て二の次にされている。畢竟(ひっきょう)、新年度に伴うさまざまな制度変更も、充分に吟味されないまま進められつつある。そのひとつは、たばこを巡る大きな環境の変化だ。

「たばこ規制」に勤しむWHO(世界保健機関)の意を受け、4月1日から違反者には最大50万円の過料という罰則付きの「改正健康増進法」が全面施行される。簡単に言えば「屋内原則禁煙」の時代が到来するのだ。嫌煙派の高笑いが聞こえてくるようである。

 だが、この度の法改正を契機に「被害」を受けることになるのは何も愛煙家に限らないという。禁煙推進の流れを傍観してきた非喫煙者までが今後、「規制社会」での生活を強いられることになりかねないのだ。

「新年度から改正健康増進法が全面施行され、飲食店でも原則禁煙となります」

 と、厚労省担当記者がまずは法改正のあらましを解説する。

「専用の喫煙室を設ければ、そこでのみ紙巻きたばこは喫煙だけが可、加熱式たばこの喫煙室では飲食も可ではあります。しかし、個人経営の狭い店で喫煙室を作ることはスペース的にも資本的にも不可能に近い。そのため『経過措置』という名の“例外店”を認め、資本金5千万円以下で客席面積100平方メートル以下の既存店であれば店内での喫煙が継続して認められます」

 だが、そこに屋上屋を架す自治体が現れた。

「法改正と同時に、東京都は『受動喫煙防止条例』を全面施行させます。しかも、国の基準より厳しく、家族ではない従業員がひとりでもいる店は例外店として認めません。その結果、都内の84%の飲食店が条例の対象店となります」(同)

 全国、とりわけ首都で狭まる「喫煙者包囲網」。その結果、さまざまな「弊害」が予想されている。

 神奈川県の受動喫煙防止条例の制定に携わった東海大学の玉巻弘光名誉教授はこう懸念する。

「このまま4月1日から条例が施行されれば、ただでさえ新型肺炎の影響で経営が厳しいなか、愛煙家の常連客の足が遠ざかるなどして小規模飲食店がバタバタと潰れてしまうのではないかと心配しています。早急に施行延期の検討をすべきではないでしょうか」

 確かに、暖簾をくぐり、カウンター席に腰かけ、馴染(なじ)みの女将さんとのとりとめのない会話を肴(さかな)にしてたばこ片手に一杯ひっかける――。そんなささやかな息抜きを日常としている愛煙家が、喫煙できないとなればその店に行かなくなるのもむべなるかな。そもそも、

「日本では先に屋外禁煙を、その後に屋内禁煙を進めましたが、これは世界的に特殊な事例と言えます。多くの国では、屋内禁煙を徹底しているかわりに、屋外での喫煙を認めている。フランスではカフェのテラス席でたばこをふかせますし、禁煙推進運動が盛んなオーストラリアでも、屋外での喫煙は原則自由で、歩きたばこも当たり前の光景です。欧米並みに屋内禁煙を徹底するのであれば、屋外喫煙のルールも欧米に足並みを揃えることを検討すべきだと思います」

 なお、こう語る玉巻氏は生涯で1本もたばこを吸ったことがない非喫煙者だ。

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