ついに「屋内原則禁煙」開始で何が起こるか WHOの次の狙いは「お酒規制」

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糖分規制も…

 こうして、日本の愛煙家は「外堀」も「内堀」も埋められる悲哀の最中にいるわけだが、たばこ問題に詳しいある関係者は、法律と条例のがんじがらめによって、「密告社会」が広まるのではないかと予測する。

「法改正が行われようと、喫煙者が消えていなくなるわけではない。彼らのニーズに応えるべく、表向きは暖簾を下ろして『閉店』を装いつつ、実は店内でたばこを吸わせるという『闇喫煙』が生まれ、それを見つけた人が行政機関に密告するというギスギスした社会にならないか不安です」

 実際、すでに「喫煙者監視社会」は一部で現実化している。本誌(「週刊新潮」本年2月20日号)既報の通り、昨年11月、横浜地裁でひとつの判決が下された。この裁判は、ある団地に住む一家が、同じ団地の斜め下に住む男性の喫煙による副流煙のせいで家族が健康を害したとして損害賠償を求めたものだったが、体調不良と副流煙の因果関係は認められず、男性側が完全勝訴したというものだった。そしてこの裁判の過程で、こんなことが明らかになったのだ。

 同裁判の取材を続けてきたジャーナリストの黒薮哲哉氏が証言する。ちなみに黒薮氏も非喫煙者である。

「原告から相談を受けた岡本光樹という弁護士(現在、都民ファーストの会の都議)が、受動喫煙の害を立証するために、被告である男性のゴミ箱から吸い殻を探せと原告に助言していたんです。ゴミの中身を詮索するのが他人のプライバシーにずかずかと踏み込む行為であるのは明らか。ことたばことなると、異様な行為や過剰なバッシングが許されるのはおかしいと思います」

 それでもなお、たばこが対象であれば何をしてもいいのだという嫌煙派がいるとすれば、しっぺ返しを受けることになるだろう。なぜなら、狙われているのはたばこだけではないからだ。

「すでにWHOはたばこ規制の次に酒規制、その次には糖分規制に乗り出そうとしています」

 として、玉巻氏が続ける。

「アメリカでは、ブルームバーグ氏がニューヨーク市長だった2012年、特大サイズの炭酸飲料など、糖分の多い飲料の販売を禁止する法案が提出されたことがある。私事に関する自己決定権を制約して、健康に悪いものは全て排除せよと、上から万人が規制される『健康監視社会』がやってくる可能性は大いにあるでしょう」

 先の関係者が後を受ける。

「2010年、WHOは『アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略』という指針を出していて、やはり禁煙推進の次は酒規制を強めていくと思います。具体的には屋外での飲酒禁止や深夜の酒販規制です。現にWHOの後ろをくっついていく厚労省は、17年に『アルコール健康障害対策推進室』を設置している。これまでの10年は禁煙推進、これからの10年は酒規制というのが厚労省をはじめとする『健康原理主義者』の目論見なんです」

 最後に愛煙家である漫画家の黒鉄ヒロシ氏が嘆く。

「たばこも酒も宗教も性行為も、個人の嗜好なんだから他人は口を出さないでほしい。たばこだから規制されても皆笑っていますが、これは宗教弾圧と同じことですよ。新型コロナウイルスに世界がこれほど震撼している時だというのに、禁煙だ、禁煙だと騒いでいる人たちの気が知れません」

 たばこ弾圧の果てに、酒弾圧、糖分弾圧……。この負の連鎖の危険性に、嫌煙派が気付くことはないのかもしれない、当分の間――。

週刊新潮 2020年4月2日号掲載

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