【コロナ禍】10分に1人が死亡しているイラン 「反米」と「イスラム」が招いた惨状

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常に中国支持のイラン

 イランで新型コロナウイルスの蔓延が止まらない。何しろ「10分間に1人が死亡し、1時間におよそ50人が感染している」というのだ。

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 ニューズウィーク日本版(電子版)は3月20日、「イラン、新型コロナの死者1284人 『10分間に1人が死亡』」の記事を掲載した。

《イラン保健省のジャハーンプール報道官は19日、新型コロナウイルスによりイラン国内では10分間に1人が死亡していると指摘した。これまでの死者数は1284人に達した》

《報道官はツイッターに「われわれの情報に基づくと、イランでは新型コロナにより10分間に1人が死亡し、1時間におよそ50人が感染している」と投稿した》

 フランス通信社のニュースサイト「AFP BB News」が報じた、3月26日の午前4時時点のまとめによると、新型コロナウイルスによるイタリアの死者は7503人だ。

 次に多いのはスペインで3434人。香港とマカオを除いた中国本土は死者3281人。その次がイランで2077人だという。

 なぜ、ここまでの感染爆発が起きたのか、まずは各メディアの報道を振り返ってみよう。

 まずはイランと中国は近年、非常に外交関係を強化していることに触れておく必要がある。

 読売新聞は2018年6月、「中露、イラン抱き込み 対米けん制 思惑一致 ロハニ師 あす上海機構出席」と報じた。冒頭部を引用させていただく(註:デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。

《9~10日に中国山東省青島で開かれる上海協力機構(SCO)の首脳会議に、イランのロハニ大統領がオブザーバーとして4年ぶりに参加する。中国やロシアは、米トランプ政権の核合意離脱によって再び経済制裁に直面するイランを自陣営に引き込む思惑もあるようだ》

 アメリカは近年、中国とイランを敵視する政策を採っている。その対抗策として、中国とイランが手を結んできたことが分かる。

 今年1月にアメリカはイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官(1957~2020)を殺害したが、その際も中国はイランと共にアメリカを非難する声明を出している。

 同じ1月に中国が「広東省で、新型コロナウイルスがヒトからヒトへ感染したのを確認した」と発表すると、今度はイランが《対応を称賛》するメッセージを送った。

 エマージングマーケットニュースが翻訳した中国・新華社通信の記事によると、イランの称賛に中国の王毅外相(66)は《感謝を表明》した上で、感染を迅速に抑えこむ決意を語っている。

 2月3日、王毅外相とイランのモハンマド・ジャヴァード・ザリフ外相(60)は電話会談を行った。同じく翻訳された新華社通信の記事によると、ザリフ外相の発言は《一部西側国》への敵意を感じさせるものだ。

《われわれは危機に乗じるという一部西側国のやり方に断固反対し、中国政府と人民が必ず当面の困難を乗り越えることができると信じている。イランは中国に一定数の緊急医療物資を提供した。引き続き支援を提供し、中国と心を一つにして感染の阻止に協力する用意がある》

 イランから中国へ医療物資を提供したというのだから、今から思えば脳天気なものだ。2月2日にイランの内務省は一応、「中国本土に乗り入れる航空便の停止」と、「中国から到着する外国人の入国拒否」を発表してはいる。

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