新型コロナ、極度に恐れる必要はない 死者3千人超えインフルとの比較検証

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発熱と咳さえ排除できれば

 ヒトに感染するコロナウイルスは、これまで6種類が判明しており、矢野副院長が説明する。

「そのうち4種類は風邪の原因になるウイルスで、一般の風邪は10~15%、流行期には、35%の原因がコロナウイルスです。残り2種類がMERSやSARSの原因ウイルスで、今回の新型は7種類目。発見当初は、MERSやSARSの同類と考えられましたが、現状の致死率をみるかぎり、1、2年後に振り返った際、指定感染症にするようなものではなく、むしろ風邪の原因となる五つ目のコロナウイルスだと考えられるようになるかもしれません」

 未知のウイルスとはいえ、敵はそれほど手ごわくもなさそうなのである。それを理解したうえで、有効な予防法を確認していきたい。矢野副院長が続ける。

「最も有効なのは頻繁な手洗いです。石鹸と流水で最低20秒の手洗い、もしくはアルコール消毒をしてください。帰宅時、外出中にかかわらず、チャンスがあるかぎり行うのがよい」

 一方、マスクは、

「電車やバスのなかでマスクをしている人は、周囲の人の口や鼻からの飛沫を吸い込まないようにしているのでしょうが、隣の人の咳の飛沫が飛んだあとも、同じマスクをし続けていますよね。すると、マスクの表面を触ったとき、手に病原体が移動し、その手で目や鼻の粘膜に無意識に触れれば、ウイルスに感染してしまいます。マスクは使ったら捨てなければならず、同時に手洗いが行われるときにのみ有効です」

 もっとも、本当にマスクが必要な人もいる。

「咳や鼻水などの症状がある人、症状がある人をケアする家族や医療従事者、そして抵抗力がない人や妊婦さん。その人たちがアルコール消毒とセットで使用するのが大事で、それ以外の人が使用をやめてくれれば、本当に必要な人の手にマスクが渡ります」

 言い換えれば、健康な人も漏れなくマスクをしている現状は、行きすぎだというわけだ。ほかに気をつけるべきことは、

「高齢者、抵抗力が落ちた人、妊婦は人ごみに出ない。やむなく出るときは手指消毒とマスクを欠かさないこと。発熱や咳の症状がある人がいる部屋では換気をしましょう。うがいは効果が確認されておらず、むしろ、新型コロナウイルス感染者がうがいをすると、水を吐き出すときに周辺にエアロゾル(気中分散粒子系)ができそうなので、避けたほうがいい。それから、バスなどでつり革に直接触れないように手袋をしている人がいますが、汚染した手袋に触れた手指で自分の粘膜に触れる恐れがあるから、効果は期待できません。やはり手洗いが大切で、予防をしたうえで日常生活を送ることが大事です」

週刊新潮 2020年3月12日号掲載

特集「極度に恐れる必要はない!『瀬戸際』の正しい過ごし方」より

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