韓国映画「パラサイト」にテレビ東京が出資のナゼ 社員のボーナスアップは確実

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「午後ロー」の実力

 黒澤明(1910~1998)は米アカデミー賞で名誉賞と外国語映画賞を受賞した。小津安二郎(1903~1963)は残念ながら縁がなかった。

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 日本の二大巨匠でさえこうなのだから、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」[監督:ポン・ジュノ(50)/配給:ビターズ・エンド]の4冠がどれだけの快挙か、改めて実感させられる。

 2020年2月、第92回アカデミー賞は「パラサイト」に、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門で賞を与えた。非英語作品の作品賞受賞は史上初めてと大きく報じられた。

 韓国映画の実力を世界に見せつけたわけだが、この「パラサイト」の日本での権利にテレビ東京が出資していたことをご存知だろうか。

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 2月1日の午後4時55分から、テレ東は「大ヒット記念!まだ間に合う 映画『パラサイト 半地下の家族』特番 斎藤工&ポン・ジュノ監督スペシャル対談!」を放送した。相当な力の入れようなのだ。

 ライバルの民放キー局の関係者が「テレ東さんが“専門分野”でどれだけ強いか、改めて痛感させられました」と語る。

「かつて民放各局は、ゴールデンで映画番組を放映していました。ところが現在は、日本テレビの『金曜ロードSHOW!』(21:00)だけです。レンタルビデオや衛星放送、ネット配信に押されて視聴率が低下し、高額な放映権料を賄いきれなくなったからです。日テレだけが残ったのは、出資しているジブリ作品がコンスタントに視聴率を獲るからです」

「千と千尋の神隠し」[2001年/監督:宮崎駿(79)/配給:東宝]や「となりのトトロ」[1988年/同]の視聴率は、今でも確実に15%前後を確保するという。

「はっきり言って、『千と千尋』や『トトロ』は減価償却が完了した作品です。そんな映画を地上波のゴールデンタイムに放送して、常に2ケタの視聴率を稼ぐのですから、日テレさんにとって極めて美味しいビジネスです。一方、テレ東さんも映画にはこだわりがあります。月曜から金曜の毎日、午後1時35分から3時35分まで『午後のロードショー』を放送しているんです」(同)

 こちらは誰でも知っている作品ばかり、というラインナップではない。むしろ逆だろう。例えば2月17日に放映されたのは「ザ・バンク 堕ちた巨像」[2009年/監督:トム・ティクヴァ(54)/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント]という作品だった。

 主演のクライヴ・オーウェン(55)はゴールデングローブの助演男優賞などを受賞しているが、率直に言って、日本での知名度は決して高いとは言えない。

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