新型コロナ対応に「人権」の壁 日本の脆弱な危機管理能力が露呈

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 命からがら脱出してきた同胞への、あまりにむごい仕打ち。片や国会で、検査や隔離対策の不備を問われた総理と加藤勝信厚労相の口から飛び出したのは「人権」の2文字だった。後手後手ぶりは、横浜港の豪華客船パニックにも現れて……。

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 2月3日夜、東京湾の玄関口・横浜港が騒然となった。帰港を目前にした豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客が、新型肺炎に感染していたのである。

 社会部デスクによれば、

「患者は80歳の香港在住の男性で横浜から乗船。クルーズの寄港先・香港で下船しましたが、その後、香港政府の発表で感染が判明したのは船が日本への帰途、沖縄に寄港している際のこと。その時点で3711人の乗員乗客は検疫を済ませていましたが、横浜を目前に複数の乗客が咳や熱などの症状を訴え、改めて全員の健康状態をチェックすることになってしまいました」

 検査に手間どり大量の乗客が沖止めを余儀なくされたが、武漢からのチャーター便での数々の反省点を、政府は再検証して対策に活かせているのか。

「帰国したい方をチャーター便で救出するという判断は非常に評価できますが、到着した後のホテル手配にしろ、費用の政府負担にしろ、あまりに対処が泥縄的です」

 と嘆くのは、感染症に詳しい医学博士で元小樽市保健所長の外岡立人氏である。

「飛行機代を国が負担する代わりに、検査は必ず受けるよう乗客に求めていれば、スムーズに事が運んだでしょう。しかも武漢からの帰国者を、アメリカは軍の施設に隔離、オーストラリアは本土から千キロ以上離れた島に集めているのに、日本はわざわざ一般人が居住する市中のホテルや施設に収容した。他国には、日本は何を考えているんだと思われていますよ」

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