ダルビッシュと田中将大 「大型契約」を残すメジャーリーガーの“気になる今後”

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「ダルビッシュ有(カブス)、田中将大(ヤンキース)ともに2020年は期待できる。球団の柱となる可能性がある」

メッツ、フィリーズなどのアジア担当スカウトを歴任して、これまで数多くの日本人選手とMLBの架け橋になってきた、メジャーリーグアドバイザー兼野球アナリストの大慈彌功氏は彼らの活躍に“太鼓判”を押す。

 まずはダルビッシュ。2019年シーズンは31試合に登板して、6勝8敗、防御率3.98だった。この成績はファンの期待には届かなかったとの声もあるが、現状ではそこまでの“逆風”は吹いていない。

「手術を受けたこともあって球団やファンも長い目で見ている。ダルビッシュ自身も手術後に少し違和感のようなものが出て、再度リハビリに専念した。米国には、多くの専門家がいて症例のデータが膨大にある。それを踏まえて長いスパンでの完全復調を目指したということ。ここ2年の成績は参考にならない」

 15年に右肘のトミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ。復帰を急いだせいか、18年に右肘の故障が再発し、このシーズンは8試合のみの登板で終わった。だが、様々な状況を想定したうえで最適なリハビリ方法を選択し、20年以降の“完全復活”を目指したのではないか、と大慈彌氏は指摘する。

 ただ、「人件費削減のためにトレード要員になるのではないか」と囁かれているのも確かだ。その理由は、高額年俸での長期契約を結んでいるため。チーム再建の柱として期待され17年オフに6年契約を結び、4年8100万ドル(約88億円)の契約を残している。

「大型契約があることで、周囲から少しずつ不満の声も出始めているが、トミージョン手術を受けた投手は時間とともに飛躍的に回復する、というデータが多い。19年の夏場以降は素晴らしい投球をみせていたので、20年以降はさらに良くなるはずだ」(大慈彌氏)

 実際、ダルビッシュは2019年シーズンの後半に入ると調子が上向き、最後の3試合で合計39奪三振の快投をみせている。シーズンを通じて229奪三振という記録をみても、メジャーで非常に高い水準の奪三振率だ。

 一方、田中の19年シーズンは32試合登板で11勝9敗、防御率4.45という成績を残した。シーズン終盤には、メジャー通算1000投球回数も達成した。米メディアからは「球団最高額にして最高の補強だった」という最大限の称賛を受けた。

「レギュラーシーズン、プレーオフの中心投手として投げ続けて、チームへの貢献度はかなり高い。また19年の公式球は縫い目が少し低くて、スプリットの落ちが悪くなった状況でも、田中の投球は安定していた。20年以降、ボールの縫い目の高さを元に戻すという話もあるようだ。そうなった場合にはスプリットだけでなく、他球種も動かすことができて有利になるはずだ」(同)

 過去、ポストシーズン8試合登板で防御率1.76を記録する田中は、ワールドシリーズ制覇を狙うヤンキースにとって欠かせない右腕だ。また、今後の契約についても重要な時期にきている。14年に7年1億5500万ドル(約170億5000万円)で契約し、20年オフで契約満了を迎える。

「田中はヤンキースとの契約延長、もしくは他球団移籍の両方も視野に入れているはず。好条件を引き出すためにも結果が欲しい。今後の野球人生を考えると、頑張らないといけないシーズン。万全な状態で投げられるようにするために選んだのが手術だった」(同)

 19年10月末に受けた右肘のクリーニング手術は、多くの投手が受けている簡単なもの。余分な骨変などを取り除くことで、よりフレッシュな状態になり良い結果につながると見ている。どうやら、心配は無用のようだ。メジャーの舞台でダルビッシュと田中が大車輪の活躍を見せてくれることを楽しみにしたい。

週刊新潮WEB取材班

2020年2月9日掲載

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