「大戸屋」赤字転落は“値上げ”や“お家騒動”のせいではない 専門家が指摘するもっと深刻な理由

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1790円の定食も

 大戸屋、赤字――。報道に驚くより、「当然」と思った方が多かったかもしれない。会社側は「値上げとバイトテロの悪影響」と説明。それは果たして的を射ているのか。専門家からは「そもそも大戸屋が魅力を失いつつある」との声も出ている。

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 11月12日、大戸屋ホールディングスは2019年9月中間決算を発表、営業損益が1億8700万円の赤字とした。多くのメディアが「中間期に営業損失を出すのは01年にジャスダックに上場して以来、初めて」と報じた。

 この時、大戸屋は「18年7月と今年4月のメニュー改定、そして今年2月に発覚した不適切動画の悪影響により、業績が悪化した」との説明を行っている。

 それでは18年7月のメニュー改定から順を追って見ていこう。当時のプレスリリースには《新登場のラインナップ》として定食が6種類、丼と雑炊が1種類ずつ紹介されている。

 最も高いのは「フォンドボー仕立ての和風ソースで食べる炭火焼きビフテキ定食」で、税込1790円(当時、以下同)だった。

 逆に最も安い定食は「大戸屋特製黒酢あんで作る さばの梅黒酢煮定食」で880円、「アカモクと五穀ご飯のねばとろ出汁雑炊」は790円だった。

 次にバイトテロだが、こちらは今年2月に発覚。大阪府泉佐野市の「大戸屋ごはん処りんくうシークル店」のアルバイト従業員3人が、ズボンを脱いだ下半身をお盆で隠したり、廃棄予定のプリンを口にしたりする様子をSNSに投稿していたのだ。

 大戸屋は謝罪と再発防止に大わらわ。最悪のタイミングで4月のメニュー改定が実施されたわけだが、その内容は毎日新聞が報じた「大戸屋HD:値上げ、定食最大70円」の一部をご覧いただきたい(註:引用時はデイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。

《定食メニューなど12品目について、23日から10~70円値上げすると発表した。人件費や魚などの材料費が高騰していることが理由という》

《「しまほっけの炭火焼き定食」が970円から1040円に、「ロースかつ定食」は910円から950円になる》

 2000円近いビフテキ定食となると、逆に許せるかもしれない。「大戸屋で1040円」の方が動揺する声が多かったのは事実だ。しかし本当にネット上で異論が相次いだのは、「大戸屋ランチ」だった。

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