高畑充希が「同期のサクラ」で住む“南栄荘” レトロアパートがドラマ撮影で大人気

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新旧住人の声

 かつてこのアパートに暮らしていたという、人材育成を業務とする(有)ヒューマン・ギルドの岩井俊憲氏が懐かしそうに語る。

「私が住んでいたのは50年前ですけどね。大学3、4年の時だから、1968年から70年3月に卒業するまで住んでいました。4畳半一間で、当時すでに築30年くらいだったと思いますよ。アパートの玄関を入ると横長のタタキがあって、その両側に下駄箱。正面に広い階段があってね、そうそう、新選組の池田屋の階段落ちみたいな。一階の玄関横には住み込みの管理人がいました。当時の学生は電話なんか持ってないから、管理人さんにかかって、呼びに来てくれた。トイレは共同で、風呂は近所の銭湯に行ってました。私は2階北側の部屋だったと思います。部屋には水道と一口のコンロ、押し入れがあったかなあ、あとは畳だけ。大学が近かったので、たまり場になっていましたね。8人ぐらいで寝たこともありましたよ。住人は同じ大学の学生ばかりでしたが、下の階には別の大学の学生もいて、仲良くなりましね。『同期のサクラ』に使われているそうですね。高畑さんでしょ、彼女の雰囲気に合ってる気がしますね、なんか昭和の匂いを感じるから……」

 現在の南栄荘はどうなっているのか、行ってみた。扉を開けると、横長のタタキ、その両脇の下駄箱は岩井氏の言ったとおりで、かなりの年代物。真正面に広い階段があるが、2階までまっすぐではなく、途中から左右に分かれる、洒落た作りだった。住人に声をかけてみた。

「もう30年くらい住んでるよ。昔は学生寮みたいなアパートだったというけどね。今は年寄りばっかり。建物は全然変わらないね。今も畳の四畳半さ。何で住んでるって?そりゃ家賃が安いからだよ」

 そこへ、裸に腰にタオルを巻いただけの住人が通りかかる。

「裏にコインシャワーがあるんだよ。ちゃんとお湯も出るから便利なんだ。ここは街からは近いけど、静かだし、立地はいいんだよね。ただまあ、古くて汚い」

 結構、ドラマのロケに使われていることはご存知だろうか。

「もちろん知っているよ。ロケの時にはお知らせもあるし、撮影中は玄関使えないからね。今は『同期のサクラ』っていったっけ? 玄関前に柱を立てたり、二階に段ボール張ったりして、見かけを変えてるんだよ。ドラマはあんまり面白くねえなあ。それよりさ、去年放送したやつ、何ていったけ?」

 どうやら「花のち晴れ」のことを言いたいらしい。

「そうそう、あれでさあ、このアパートの名前、北名荘(きたなそう)って看板つけてたの知ってる? あれはカチンときたね。そりゃあさ、汚いアパートだけど、人に言われると頭にくるんだよなあ」

 80年にわたり愛されてきたアパートである。業界の皆さん、くれぐれも失礼なきよう。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月27日掲載

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