高畑充希が「同期のサクラ」で住む“南栄荘” レトロアパートがドラマ撮影で大人気

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東京大空襲からも免れたアパート

「あの辺りは奇跡的に空襲から免れたんですよ。すぐ近所にも同じように古いアパートは数年前までありましたが、みんな建て替えられましたね」

 なぜ、南栄荘だけが残っているのだろう。

「土地の所有者と建物の所有者が異なるうえ、担当の方も代替わりしているから、なかなか計画が立たないようです」

 希少価値から、格好のロケ場所として利用されているわけだ。

「それと撮影しやすい立地の良さもあるみたいですね。大通りから少し入った所にあるから、交通の邪魔にならない上、玄関の前の道が少し広いので、撮りやすいんだそうです。そのせいか、年に5~6件、問い合わせがあります。ただ、内部の撮影は断っています。ですから、『同期のサクラ』もサクラの部屋は、別のセットで撮影しているんでしょうね。でも、あまり頻繁に撮影されても住民に迷惑だから、“有料ですよ”って言うと諦める制作会社もあります」

 実際、南栄荘に住んでいる人は、どれくらいいるのか?

「大学が近いから、かつては大学生ばかりが住んでいました。しかし、風呂なしの共同便所ですからね、今の若い人は住みたがりません。あ、1部屋だけ、卒論の共同制作に使いたいとのことで、建築学科の学生さんに借している部屋があります。その他はほとんどお年を召した人ですね。2階建てで30室ほどありますが、今もすべて埋まっています」

 そんなに部屋数がある建物には見えないが……。

「複雑な形をしているんです。建物が出来た頃のことはさすがに知りませんが、登記を見ると、土地が3つに分かれています。おそらく3つの建物をくっつけたのではないかと思われます」

 その建物は、上から見るとV字型をしている。

「廊下の両側に部屋がある2棟がV字型になっていて、その多くが4畳半一部屋で、狭いから部屋数が多いんですよ。なかなかユニークな人も住んでいました。もし私に文才があったら、小説にでもしたいほど。大学時代から数十年、ずっと住んでいた設計士もいましたね。部屋を設計事務所として使っていました。数年前に引っ越されましたが、駅前に立派な事務所を構えています。また、大手ホテルチェーンの清掃会社を経営している方、一級建築士も住んでいます」

 家賃の平均は3万5000円という。

「もちろん、お金がないという理由で暮らしている方もいます。働いているけれど収入が少なく、生活保護を受けている人もいる。体が弱く、入院してしまうと給料は途端に入らなくなる。生活保護っていうのは、払われなかった給料分を補填するまでに時間がかかるから、私のところにお金を借りに来る方もいます。大金は貸せないけどね。ただ、生活保護を受けている人は借金はしてはいけないことになってるそうなんだけど、それじゃ生活できないじゃない。そういうことも行政には考えてもらいたいよね」

 確かにバラエティに富んだ住人である。

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