沖縄で深刻化する深夜の「路上寝」問題 酩酊するまで飲んでしまう文化も一因か

国内 社会 2019年11月18日

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かつては埼玉がワースト

 ただし、VTRの雰囲気は、決して重いものではなかった。沖縄の酔っぱらいに呆れているトーンが強く、ある意味で“警察24時”を彷彿する内容だった。そのためスタジオに戻ると、コメンテーターの玉川徹氏(56)が、いきなり爆笑。他の出演者から「笑いごとじゃない」とたしなめられる場面もあったほどだ。

 むろん地元行政の啓発活動やメディアの報道を見ると、玉川氏のリアクションは不適切だったことは言うまでもない。まずは沖縄県警が作成した広報用資料をご覧いただこう。

 ちなみに警察は路上寝を「路上横臥」という専門用語で分類している。通報件数と交通事故の内訳、そして死亡事故と人身事故に占める割合を表にまとめてみた。

 表にもあるように、路上寝をしていた者の全員が酒を飲んでいたとは限らない。だが、それにしても死亡事故に占める割合が7%とか8%とか、10%近くになっているというのは衝撃的と言っていいだろう。

 以上のデータを踏まえながら、地元紙の琉球新報が6月14日に報じた「路上寝死 5年で12人/県内 事故割合、全国の5倍」の冒頭部分をご紹介しよう。(註:全角数字を半角数字にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)

《飲酒や急病が理由で道路や地面に横たわった状態(路上横臥)で車にひかれる路上寝の交通事故が2014年から18年の5年間で88件発生し、そのうち死亡事故が12件起きていることが県警の統計で分かった。全ての交通人身事故に占める路上寝事故の割合は全国水準の5倍近く。路上寝の大半がお酒の飲み過ぎによるもの。例年、屋外での活動が増える6月から路上寝の通報が増加する傾向があることから、県警は酒の飲み過ぎや夜間の車の運転に注意を呼び掛けている》

 同紙は翌日の朝刊に「路上寝全国の5倍/過度の飲酒控えることだ」との社説を掲載した。《生命を危険にさらす行為は一掃しなければならない》、《節度ある飲酒を心掛けたい》という記述が目立つ、いかにも社説という書きっぷりではあったのだが、少なからぬ沖縄県民が路上寝に危機意識を持っていることは伝わってくる。

「路上寝という行為や、それに伴う被害は多分、昔から全国で脈々と続いてきたのだと思います。しかし昭和30年代や50年代には交通事故の死亡者が1万人を超え、『交通戦争』と呼ばれました。そんな時代に、酔っ払って車道で寝て事故に遭った被害者となると、なかなか報道する余裕がなかったのだと考えられます」(社会担当記者)

 データベースを調べてみると、90年代は熊本県、静岡県、長野県、愛知県、宮崎県、そして東京都で路上寝の交通事故が増加した――と警鐘を鳴らす新聞記事が報じられている。

 このうち唯一、毛色が違うのは東京のケース。読売新聞は96年8月22日、「ホームレスの交通事故死が都内で急増 『駅』から『路上』に引っ越して犠牲に」との記事を朝刊に掲載した。

 この時期までに、路上で寝込んでいた交通事故死亡者は11人。そのうち5人がホームレスで、巣鴨や西新宿の車道で酔って寝ていたところをひき逃げされるなどの被害に遭ったという。記事ではホームレスの“浄化作戦”により、主要ターミナル駅から追いだされたことが背景にあると指摘している。

 そして2010年になると、路上寝の交通事故が埼玉県内で多発する。読売新聞の埼玉県版は12月11日、「泥酔者の路上寝込み 交通事故死が多発 3年連続全国一の恐れ」と報じた。

 13年、週刊誌「AERA」は「『路上で寝る』は犯罪か? 初摘発で広がる『取り締まり強化』の空気」の記事を掲載した。文中に「路上寝込み等の『死亡事故』が多い」都道府県が紹介されている。

 これによると、ベスト5は【1】千葉、【2】埼玉、【3】東京、【4】愛知、【5】兵庫、と都市圏ばかりだ。ベスト10に広げても、【6】大阪・長野、【8】神奈川・群馬・新潟となり、沖縄の名前はどこにも出てこない。

 しかし記事では註釈のように「沖縄県・宮古管内での路上寝込みは昨年730件もあった。多い日は7、8件の通報があるという」と書かれている。どうやら、この頃から沖縄県で路上寝の件数が多いというのは、警察関係者などに注目されていたようだ。

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