台風19号・多摩川氾濫で唯一の死者 娘さんが語る「ペット4匹も父と一緒に死んでしまいました…」

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 なぜ私は生き残り、彼は死んでしまったのか――。戦争や災害の難を逃れた「生者」は、「死者」との紙一重の差を前にして深いトラウマに囚(とら)われる。生と死を分ける、髪の毛1本ほどの僅かな違い。台風19号による被害者にも、生死の境のドラマが存在していた。

「私は(台風が直撃した今月12日の)前の日から友だちの家に避難していたんですが、父は仕事に出掛けていたので一緒には行きませんでした。それで12日の20時頃、電話で『こっちは水きてないよ。お父さんのほうは大丈夫?』と訊(き)いたら、『大丈夫、大丈夫』と言っていたのですが……」

 被害者の娘さん(28)は、こう振り返った。彼女の父親がいたマンションの浸水が始まったのは、おそらくその電話を切った直後のことだった――。

 史上最大級の台風19号は、各地に甚大な被害をもたらした。それは、首都である東京周辺も例外ではなかった。

 神奈川県川崎市高津区溝口、多摩川の支流である平瀬川沿いの土手に面した4階建てマンション。そこに住んでいた60歳の男性は、川から溢れ出た水に飲みこまれ、自宅で心肺停止の状態で発見されて死亡が確認された。「氾濫多摩川」によって亡くなった唯一の被害者となった(13日現在)。

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