関西電力幹部が森山栄治高浜町元助役からの金品を拒めなかった本当の理由

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「関電」が震え上がった「高浜原発のドン」呪縛の核心(1/2)

 日本の原子力発電所の約4分の1が集まり、“原発銀座”と呼ばれる福井県の若狭湾沿岸部。その最西端にある人口1万人あまりの小さな町では、町役場OBたちがこんな話をしている。

「森山さんは常にパリッとした背広を着ていて、仕事に厳しかった。でも、ほかの市の市長さんや霞が関の人が帰るときは、お辞儀をして車が見えなくなるまできちんと見送っていたね」

 細身で身長は160センチくらいとさほど高くはなかったけれど、眼光は鋭かった。そう振り返る声もありつつ、

「あれは昭和50年代だったかな。助役は将棋が好きで、昼休みに食堂で職員と一緒に食事したあと、宿直室で将棋をしてたわ。役場での立場なんて関係なく、冗談を言い合いながら指してた。助役の腕前は相当なもので、みんな勝てなかったなあ」

 小さな町、とは高浜原発が立地する高浜町。森山さんというのは今年3月に90歳で死去した元助役の森山栄治氏のことだ。いま、この元助役が主役となった問題が世の注目を集めている。

 関西電力の会長や社長を含む幹部20人が、2011年から18年までの7年間に、総額3億2千万円相当もの金品を森山氏から受け取っていた。それを幹部たちは、いわれのない金品と、受け取りを拒むこともせず、思考停止状態となって保管していた。これが批難を浴びているのである。9月末の問題発覚後に関電が開いた会見で、岩根茂樹社長は、

「地元の有力者で、助言や協力をいただいた。関係が悪化すると(原発)事業に悪影響が出るかと思い、(金品を)返せなかった」

 こう話し、新聞は、

〈原発マネー、不透明な渦 工事発注先→元助役→関電会長らへ3・2億円〉(9月28日付朝日新聞)

〈関電3・2億円受領 不信呼ぶ還流の闇〉(9月28日付毎日新聞)

 といった検証記事をデカデカと載せた。

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