ヤクザに銃撃されても死ななかったテコンドー協会「男・金原」会長の「血と骨」人生

スポーツ 週刊新潮 2019年10月3日号掲載

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ふたつの伝説の真偽

 金貸しをしながら、韓国クラブやフィリピンパブを展開……。「その筋」と無縁でいるのは難しかったに違いない。実際、松本市のあるスナックのママは、

「金原さんは昔、ヤクザさんと一緒に飲みに来ていましたよ」

 と証言し、先の親族も、

「そりゃ、高利貸しやってたんだから、ヤクザと接点がなかったはずはないでしょう」

 こう認める。そこで生まれたのが、冒頭の「拳銃伝説」である。松本市やテコンドー界で広く知られたこの伝説には、さまざまな尾ひれがついていて、

「実は撃たれたのは4発」

「どこの組に撃たれたのか、決して口を割らなかった」

「撃たれたことを、恥ずかしがるのではなく自慢げに話していた」

 などと、人によって語るディテールは異なるものの、いずれも金原氏が「その筋」の人から拳銃で撃たれたという点では一致している。弥(いや)が上にも、その真偽が気になるところだが、

「昇さんが撃たれたのは事実ですよ」

 と、先の親族が衝撃の告白をする。

「30年くらい前かな。現場はフィリピンパブの前でした。当時、ヤクザにみかじめ料を払うのはやめようという動きがあって、昇さんもそれに同意した。一方で、高利貸しとしてヤクザと接点がないわけないから、ヤクザからすれば、『何なんだこの野郎』ってことになって狙われたわけです。弾は腕を貫通して命に別状はなかったと聞いています」

「拳銃伝説」は、伝説ではなく真実だったのである。ちなみに掲載の写真を改めてご参照いただきたいが、そのパンチの効いた髪型ゆえに金原氏には「カツラ伝説」も囁かれてきた。しかし、「髪の毛の量が多いので、パンチパーマでおさえているだけ」(金原氏夫人)だそうで、こちらは伝説に過ぎなかったようだ。

 何はともあれ、「一般人」が銃で狙われるということはそうあるものではない。金原氏が「一般的」ではない世界で生きてきたことは間違いなさそうだ。事実、彼は「裁判沙汰」も起こしている。例えば、

「金原さんは法外な利息でお金を貸していて、実際に彼から借りた、そう主張する男性が、取り立ての際に〈潰しに行くよ〉〈自分は、理論的に追い詰めて行く。絶対耐えられない。精神的におかしくなる〉などと、金原さんに〈威迫〉されたとして民事裁判に訴えたことがある。金原さんはこの主張を否定していましたが、これ以外にも彼に関する金絡みの裁判が起きています」(金原氏を知る人物)

 やはり金原氏は、その風貌から受ける印象に違わない「強烈」な人生を過ごしてきたようなのである。

 先の親族は、その人生をこう総括する。

「昇さんは、中学時代は野球で、高校時代は柔道。松本に帰ってきて、空手の団体には入ったけど、テコンドーなんてやったことがないはず。カネの力と口八丁で、テコンドーの世界で会長の座を掴んだんだと思いますよ」

 これでは、「選手ファースト」ではないと男子80キロ級で全日本選手権を8連覇した江畑秀範選手らが反旗を翻すのも当然か。当の金原氏は、息子の試合での振る舞いについて「そのような事実は、全くありません」と否定しつつ、「拳銃伝説」いや「拳銃真実」については言及を避けるのだった。

 果たして金原氏は、選手の信頼を回復できるのか。「全選手」ボイコットに至ってしまっては、相当な「荒業」でも持ち出さなければそれは難しいようにも思えるが……。兎(と)にも角(かく)にも、信頼回復に向けたすったもんだの過程で、新たに物騒な「伝説」が生まれないことを祈るばかりである。

特集「五輪暗雲でJOCも困惑! 『テコンドー協会』を牛耳る『金原会長』の正体」より

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