“この世にブスな子なんていない”は綺麗事?「ルッキズム問題」にモヤモヤが消えない

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「それ、バカにされてるんだよ!」

 バンギャル自身の美の感覚もまた、世間とは少しズレている。

 バンギャルの容姿の流行も移り変わっていくが、私がバリバリバンギャル活動をやっていた10年ほど前のバンギャルが好んで着ていた服の一例は、ジーザスディアマンテという姫系のブランド(元「小悪魔ageha」のモデルで「けいこ姫」の愛称で知られた三添桂子氏はジーザスディアマンテのカリスマ店長だった)を着た通称「マンテギャ」や、黒髪ぱっつん姫カット、または黒髪おかっぱでセーラー服のサブカルっぽい女子(手首にリストカットの跡があったりする)他、フリルやレースのついた少しロリイタっぽい服である。

 ジーザスディアマンテはとてもじゃないが高くて買えなかったので(ワンピースが1着7万円もする)私は中途半端なロリイタっぽい格好をしていた。本当はage嬢風のメイクもしたかったが、元々はっきりした顔立ちのため、当時流行していたつけまつげ3枚重ねなんかすると、ドラァグクイーンのようになってしまい、つけまは1枚で自重していた。

 バンドマンも、そんな格好をしているバンギャルを好むのだ。狭い世界の中で需要と供給が成り立っている。バンギャルは可愛ければ可愛いほど、痩せていれば痩せているほどよしとされる。また、可愛い子ほどバンドマンからも狙われやすいため、他のバンギャルから嫉妬の対象となり、あることないこと誹謗中傷をネット上の掲示板に書き込まれて心を病んでしまう。それでも可愛いが正義。

 そして、社会人になってバンギャル界以外の人と接するようになった途端「エッジのきいた髪型してるね」とか「面白い服着てるね」と言われるようになった。このことを同じくバンギャルの友達に話すと「それ、バカにされてるんだよ!」と言われ、ここでようやく世間との美的感覚のズレに気づいた。

 自分が満足いかないのなら、可愛くなるため、美しくなるための努力は必要だ。他人は人の容姿をそこまで気にしていないのでこれは自己満だが、自己満でいいのだ。

 私はむくみやすい体質なので、寝すぎたりお酒を飲みすぎた翌朝などは、まぶたが腫れて奥二重になる。そんなときはやむを得ずアイテープで二重にするが、他人からしたら二重だろうが奥二重だろうが知ったこっちゃない。それでも自分だけは気になるので応急処置をする。

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