116歳「ギネス世界最高齢者」は東大卒の若者に完勝する「オセロ名人」だった

ライフ 週刊新潮 2019年8月29日号掲載

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世界最長寿「田中カ子さん」のめでたい「116歳ライフ」(2/2)

 福岡県の介護施設で暮らす田中力子(かね)さんは、現在116歳。明治から令和まで五つの時代を生きた「存命中の世界最高齢者」のギネス記録を持つ。45歳ですい臓がん、103歳で大腸がんの手術を受けるも、周囲と冗談でコミュニケーションを交わすほどお元気だ。カ子さんの長寿の秘訣に迫る。

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 施設が月2回行う体操の時間にも必ず顔を出す。皆と一緒に童謡や美空ひばりの歌に合わせ1時間、座ったままのリズム体操で汗を流す。動作を間違うこともあるが、ミスを素直に認めて笑い合うことで免疫力が上がる効果があるそうだ。

 入居する「グッドタイムホーム1 海の中道」(福岡市東区)の職員で、介護福祉士の廣田耕作氏(43)はこうも言う。

「周囲を意識する社会性も、長生きの重要な秘訣なんだと思います。私はカ子さんが2005年に102歳で入居してから様子を見ていますが、10年経っても生活レベルがほとんど変わらない。シルバーカーという補助器具は使いますが、車イスではなくちゃんと自分の足で歩きますし、この年齢になれば夜はオムツをはくのが普通なのに、夜も自分で目が醒めてトイレに行く。入浴も手が届かないところは介護士の助けを借りますが、自分で洗えるところは自分でやってしまう。食事も自らの手でスプーンを握って口に運んでいます」

 施設管理者である佐藤美千代氏(64)に訊いても、

「ここまで高齢の方なら、スプーンを口に運んであげて食べて貰うのが普通ですから、介助なしで食べられるのは本当に凄いこと。食事中も、あれが食べたいとか、自分の要求をしっかり言ってくる。一見するとわがままのように思われるかもしれませんが、そういう欲求を持っていることが強い生命力の源になっているのだと思います」

 食事は他の入居者と同じメニューを三食しっかり平らげる。本誌(「週刊新潮」)がお邪魔した8月16日の昼食は、牛肉コロッケ、ガーリックバターソテー、キャベツのごま和え、セロリの漬け物、鰯のつみれ汁におかゆと果物。これらは飲み込みやすいようペースト状にされているが、カ子さんは自らの手でスプーンにすくい、20分ほどかけてゆっくり味わう。食事中も笑みを絶やさず美味しそうに食べ、最後には親指と人差し指でOKサインを出して満足そう。感想を問うと、笑顔でパチパチと拍手をしてくれた。

 朝食後の日課であるコーヒーを、この日はランチ後にも口にした。インスタントのコーヒーにミルクをたっぷり。甘い味を好むとか。

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