サニブラウン圧勝 「周りの人はまったく気にしていませんので」桐生、小池も眼中にナシ

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精彩を欠くケンブリッジ

 スポーツライターの酒井政人氏は、サニブラウンについて、

「向かい風かつ雨でコンディションが悪いなか、100メートル決勝での10秒02というタイムは素晴らしい。追い風1メートル後半という条件だったなら9秒9台の前半が出てもおかしくありません」

 と解説したうえで、今後を占う。

「まずは200メートルに期待しています。2017年、ロンドン世界選手権の200メートルでは、ボルトの最年少決勝進出記録を約6カ月更新するなど、実績を残しているのは100よりも200メートル。実際に本人も、その方が得意かなと発言しているんですよ。現在の20秒08という自己ベストから20秒の壁を破るのはあくまでも通過点というところでしょう」

 更に、16年のリオ五輪で銀だった400メートルリレーは東京五輪で金メダルを狙えると言う。

「走力ではジャマイカとアメリカが日本よりも上ではあるものの、ジャマイカは近年勢いがありません。アメリカはお世辞にもバトンパスがうまいとは言えず、日本にはアメリカを倒す総合力があります」

 今年5月の世界リレー大会で日本はバトンミスで失格となったが、そこにサニブラウンは出場していなかった。大会で優勝したブラジルには9秒台がおらず、走力では勝っていると分析する。

 400メートルリレーといえばリオでアンカーを務めたケンブリッジ飛鳥の名が脳裏を過(よ)ぎる。今大会ではケガのせいもあって100メートルでは8位と精彩を欠いた。

「本人が“全然ダメだった。また一から出直して、シーズンを気持ちよく終われたら……”と話していた通り、調子が芳しくなかった」

 と、さるライターはこんな打ち明け話をする。

「彼は以前アンダーアーマーの日本総代理店・ドームの社員で、2年前の4月からナイキに移りました。その年のドームの忘年会では、ケンブリッジの映像が流れて、顔にモザイクが入っていたんです。“この裏切り者”みたいなヤジが飛んだって話もありました。陰に陽に援助をしたのにどうして?という思いをぶつけたのでしょう。ケンブリッジはリオのアンカーだったのと、ビジュアルの良さで目立ってきましたが、東京五輪で晴れの舞台に立つのは難しそうです」

 人気者が転落し、期待は裏切られる。そんな演出は人間ドラマなら朝飯前のことだ。

週刊新潮 2019年7月11日号掲載

特集「商品価値を一変させた 『サニブラウン』『桐生』『小池』 10秒の人間ドラマ」より

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