もうこの蜜以外食べられない! アリに住居と甘い蜜を与え依存させるアカシアの恐ろしい生態【えげつない寄生生物】

えげつない寄生生物2019年6月7日掲載

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 ゴキブリを奴隷のように支配したり、泳げないカマキリを入水自殺させたり、アリの脳を支配し最適な場所に誘って殺したり――、あなたはそんな恐ろしい生物をご存じだろうか。「寄生生物」と呼ばれる一見小さな彼らが、自分より大きな宿主を手玉に取り翻弄し、時には死に至らしめる様は、まさに「えげつない!」。そんな寄生者たちの生存戦略に、昆虫・微生物の研究者である成田聡子氏が迫るシリーズ「えげつない寄生生物」。第7回は「蜜依存症にさせてアリをこき使うアカシア」です。

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アカシアの木がアリに提供するサービス

 アカシアの木とアリの共生は、一緒にいることでお互いに利益を得る「相利共生」の例として知られてきました。

 アリアカシアは、マメ科の樹木です。大型の動物に食べられないように長さ3センチにもなる固く鋭いトゲをもっています。このトゲのおかげで、哺乳類などの動物はこの木を食べることを避けます。しかし、虫などの小さな生き物にとっては、このトゲはなんてことはありません。そこで、アカシアの木はアリと同盟を組み、アリをボディーガードにしてしまいます。

 まず、アカシアはアリに住みよい居住空間を提供します。アリがちょうど住みやすい大きさの空洞を自分のトゲの根元の部分に準備しているのです。トゲに穴をあけてここにアカシアアリの女王がやってきて、住みつき、働きアリたちが産まれ、アリのコロニーが誕生します。

 さらに、アカシアは、アリたちに食も与えます。葉や茎にある花外蜜腺という器官から甘くてミネラルたっぷりの蜜をアリたちに与えるのです。

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