漫画『コブラ』の巨匠が逃れられない「在宅ケアの性」 「要介護4」でも一夫多妻生活

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「自慰行為のときも」

 介護ジャーナリストの小山朝子さんが言う。

「密室で2人きりになる訪問介護の現場では、セクハラが深刻な問題になっています。介護という仕事は体を拭いたり裸体を見たりするのが普通で、男性の陰部を見るのも当たり前。でも、勃起していてもセクハラとは断定しづらく、そうするうちにヘルパーは遠慮して、体が不自由な人に情が入りやすい。結果、被害が表になりにくい性質が介護の現場にはあるのです。こっちは弱者なんだからなにをしても許されると、エスカレートするケースもあります。高齢になると前頭葉が老化して、性欲が制御しにくくなることもあります」

 もっとも寺沢氏は、

「葵さんとは肉体関係もあった。僕の家の風呂に勝手に入って下着姿で歩き回るような人だから、セクハラというほど嫌がっていたとは思いませんでした」

 と主張し、続ける。

「こんな話はしたくないけど、自慰行為のときも寝室に入ってきて“お手伝いします”と言われたことが何回もありました。呼び鈴も押さず無断で入ってくるので不法侵入だし、僕の恥ずかしい姿を盗撮してはばら撒くのだから、被害を受けたのは僕のほうです」

 そして、それ以外の点についてもこう話す。

「そもそも、彼女に“月30万円払う”なんて言っていません。僕は自分で寝起きや歩行ができないので介護費用もかかり、現在の収入でそんなに払えるはずもない。自分でボランティアだと言っていた彼女は“押しかけアシスタント”と呼ばれていて、妻は無償では気の毒だからと、月6万円を渡していたようです。葵さんは僕が懇意にしている女性を脅迫したり、その女性の知人に僕との関係をバラそうとしたりしたこともあった。僕のツイッターのアカウントを勝手に使い、僕になりすまして他者とトラブルを起こしたことも。そのうえ僕に睡眠薬を飲ませて昏眠、酩酊させ、その姿を盗撮して知り合いに送っていた。これは傷害罪だし、一歩間違えれば殺人罪です。7千枚の盗撮画像があるとも聞いています」

 ちなみに、肉体関係と睡眠薬の無断投与について、葵さんは明確に否定したが、どちらの主張に、どれだけのウソとマコトがあるのか、正確には測れない。だが、どれだけ体の自由が利かなくなっても、相変わらず湧きあがる“欲”の存在は、双方の主張の隔たりを超えて浮かび上がる。

 寺沢氏が、こうまで非難する葵さんに、いまも“ラブコール”を送っているという事実が、人間の逃れがたい性の問題の複雑さを物語っていると言えようか。

週刊新潮 2019年4月11日号掲載

特集「『要介護4』でも一夫多妻生活 漫画『コブラ』の巨匠が逃れられない『在宅ケアの性』」より

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