電気グルーヴから「ドラッグをもらった」元DJ女性の告白

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あの時、動いていれば

 瀧容疑者は麻薬取締部の取り調べに対して、

「20代の頃から大麻やコカインを使っていた」

 と供述している。K子さんがイベントに出入りしていた頃から、瀧容疑者がドラッグに溺れていたことは疑いようがない。彼女は著書のなかで、当時の狂態をこうも綴っている。瀧容疑者とも交流のあるDJと親密な関係になった彼女は、

〈クラブで踊って、持っていたエクスタシーを少しそいつにあげました。でも、2人とも全然キマらなくて、仲間からチョコ(注・大麻樹脂)をもらってトイレで吸ってようやくラリってきました。そういえば、その時、2人でトイレに入ったんで、従業員にドアをノックされて「出てきなさい」って言われたんですよ。バレたのかと思って静かにしていたら、すぐに行っちゃったんで、ドラッグじゃなくてセックスしているとでも思ったんですかね〉

 だが、そんな狂乱の日々は長くは続かなかった。彼女はまもなく、ドラッグの後遺症やフラッシュバックに悩まされるようになる。

 当時、彼女の更生を支援したのが、ジャーナリストで、トキワ精神保健事務所の押川剛氏だった。押川氏によると、彼女の話を詳細に聞き取ったところ、

「電気グルーヴの周辺で薬物が蔓延していることが掴めてきた。彼女のような若いファンも少なくないため、事実であれば見過ごすことはできません。私は彼女の証言をもとに関係者への取材を進めました。そうして集めた情報を静岡県警へと持ち込んだのが04年頃。しかし、県警が“これは東京の案件だ”と言って取り合わなかったため、改めて警視庁の薬物捜査の担当者に情報を提供したのです」

 ただ、警察は押川氏がまとめた資料こそ受け取ったものの、「現行犯逮捕に繋がる情報でないと捜査は難しい」という反応だった。

「確かに、今回の瀧容疑者に対する捜査も麻薬取締部が相当な時間をかけて内偵していたように見受けられます。ただ、あの時に警察が動いていたら違う結果になったのではないか。そう思えてなりません」(同)

 結果的に、押川氏の情報提供が当時の捜査に活かされることはなかったようだ。が、それから15年の時を経て瀧容疑者が逮捕されるに至り、K子さんの証言が信頼に足るものだったことが裏付けられたわけである。

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