日本アカデミー賞「カメ止め!」主演の濱津隆之、所属事務所決定“さらばバイト生活”

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無名の役者が掴んだ栄冠

 苦労人の男優、遂にブレイクか――。大ヒット映画「カメラを止めるな!」主演・濱津隆之(37)の所属事務所が決まったことが、デイリー新潮の取材で分かった。今日2月1日、正式に発表される。日本アカデミー賞の受賞も含め、濱津本人に喜びの声を聞いた。

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 まずは、これまでの経緯を振り返っておこう。上田慎一郎監督(34)が脚本と編集も担当した「カメ止め!!」は僅か300万円で製作され、2017年11月に東京・新宿の劇場で、ひっそりと6日間限定で公開されたのが全ての始まりだ。

 翌18年6月に新宿と池袋の2館で公開されると、一気に口コミで爆発的人気を呼ぶ。7月にはアスミック・エースとの共同配給が実現したことなどから、上映館は全国300館に拡大。昨年末に文化通信社が「18年邦画興行収入ベスト10」を発表したが、「カメ止め!!」は7位にランクイン。興収31億2000万円という堂々たる数字を残した。

 更に今年1月15日には第42回日本アカデミー賞の優秀賞が発表され、「カメ止め!!」は作品賞や監督賞など8部門を受賞。主演の濱津隆之も主演男優賞における優秀賞を獲得した。

 この優秀賞は米アカデミー賞でいう「ノミネート」の要素もある。3月1日に行われる日本アカデミー賞の授賞式で、濱津が主演男優賞の「最優秀賞」に輝く可能性もある。ちなみに同じく優秀賞に輝いた“ライバル”は以下のような顔ぶれだ。

◆岡田准一(38)「散り椿」(木村大作監督・東宝)
◆舘ひろし(68)「終わった人」(中田秀夫監督・東映)
◆役所広司(63)「孤狼の血」(白石和彌監督・東映)
◆リリー・フランキー(55)「万引き家族」(是枝裕和監督・ギャガ)

 圧倒的な知名度を誇る“スター”と、去年までは無名だった濱津が肩を並べている。映画業界の関係者に解説してもらった。

「優秀賞は1981年2月に発表された『第4回日本アカデミー賞』から創設されました。この年の優秀主演男優賞は高倉健、渥美清、中村嘉葎雄、渡瀬恒彦の4氏が受賞し、最優秀主演男優賞は『動乱』と『遙かなる山の呼び声』の高倉健さんでした。以来、延べ200人近い男優が優秀主演男優賞を獲得していますが、芸能事務所に所属していない、フリーの無名役者が主演男優として優秀賞に輝いたという事実は、極めて珍しいと評しても過言ではないと思います」

 改めて濱津に受賞時の感想を訊くと、「『まーじっすか!』という感じでした」と照れ笑いを浮かべる。

「上田監督から『優秀主演男優賞を取った』と連絡をいただいて、浮かんだ言葉が『まーじっすか!』でした。それからはずっと『とんでもないことになった』と考えていました。昨年に映画が大ヒットしてから『まさかこんなことになるとは』と驚くことばかりでしたけど、僕にとっては、その極め付きの最上級が来たという感じです」

 栄冠を「上田監督や共演者、何よりも応援してくれたお客さんのおかげです」と謙遜してから、しみじみと述懐する。

「DVDもBlu-rayも発売されているのに、いまだに映画館での上映が続いていて、観客の方が見に来てくださっている。上田監督が『こんなに幸せな映画はない』と仰っていましたけど、まさにその通りだと思います」

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