西鉄バスジャック事件 今も被害者に補償という「17歳少年」両親の十字架

国内 社会 週刊新潮 2018年12月27日号掲載

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 ゴールデンウィークの日本列島を震撼させた「西鉄バスジャック事件」から、はや19年。当時、17歳だった少年も、すっかり中年の域に達した。しかし、その両親はいまなお十字架を背負い、被害者遺族に賠償金を支払い続けているという。

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「あなたたちが行くのは、天神じゃなくて地獄です」

 佐賀駅前と福岡市天神を結ぶ西鉄バスに乗り込んだ少年は、羽交い締めにした幼い少女に牛刀を振りかざしつつ、そう言い放った。

 人質は、運転手を含め22人。バスジャックは15時間半にわたって続いた。山陽自動車道の小谷サービスエリア(広島県)で、福岡県警と大阪府警のSAT(特殊急襲部隊)が隙を見計らって突入し、少年を逮捕。

 だが、少年に切りつけられた乗客3人のうち、塚本達子さん(68)=当時=はすでに失血死していたのである。

 その後、少年は佐賀家裁での審判を経て、2000年10月、京都医療少年院に収容された。関東医療少年院とともに精神障害やその疑いがある少年犯罪者を受け入れる施設だ。

 この事件に詳しいジャーナリストによれば、

「長男が殺人者になるという十字架を背負った両親は、“息子が大変なことをやってしまい、本当に申し訳ありませんでした”と、涙を流しながら被害者を訪ね歩きました」

 そして、両親が被害者22人に対し、暫定的な賠償金を支払うことにしたのは、事件から約1年後の2001年4月のことだったという。

「その内訳は、死亡者が550万円で、重傷者2名合せて350万円、軽傷者を含む残りの被害者が1人当たり20万円から40万円でした。総額にして、1380万円にのぼりました」(同)

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