葬式ボイコット、ゴミ出し禁止… 弁護士が教える「現代の村八分」と戦う方法

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移住者は事前リサーチと証拠を残す

 政府が推し進める働き方改革という旗印のもと、最近はテレワークが普及し、働く場所が問われなくなってきている。定年後のセカンドライフとして、地方に安住の地を求める向きもある。

 では、地方移住希望者が地域の村八分を事前に確認することや防止策はあるのだろうか。

「事前のリサーチはしたほうがいいと思います。役所内にある移住の担当部署や地元弁護士会に相談してみるのもひとつの手です。しかし、村八分はいじめと同じで、水面下で行われていることが多いため、役所や弁護士会でも把握していない可能性があります。そう考えると、移住希望者が実際に地域へ足を運んでみるのが一番かもしれません。不安であれば、念には念を入れて、移住の際には自治会長や周辺住民への挨拶も必要でしょう」

 しかし、不幸にも自分が村八分に遭ってしまったら、弁護士会や地元法務局の人権侵害窓口に相談するのが一般的な方法となる。その際は証拠を残すことが一番重要だと濱門氏は語る。

「村八分で焦点になるのは、ほとんどが『言った、言わない』の争いです。暴行などがあれば、暴行罪や傷害罪で一発で罪に問えますが、村八分はいじめと同じで大概は言葉による人権侵害。そのような訴訟の場合、おそらく証拠不十分で棄却されているものが多いと思います。そうならないためにも、加害者側の発言を録音、あるいは物理的な損壊があった場合は撮影しておくことをおすすめします」

 地方移住者は、“郷に入れば郷に従え”の精神が肝要だが、村八分という時代錯誤な理不尽な目に遭った場合、自分の身は自分で守らなければならない。テレワークやセカンドライフなどで安易に地方移住を決めてしまうと、地獄を見ることになるかもしれない。

取材・文/沼澤典史(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2018年11月12日掲載

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