カルシウムだけでは不十分! 「骨粗鬆症」を防ぐ最強“乳和食”レシピ

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 痛くも痒くもなかったのに、気づいた時はもう手遅れ。発症したら完治するのは難しい。それが骨粗鬆症の恐ろしさだ。今や患者が約1300万人いるとされる国民病だが、それを防ぐ手立てはある。読んですぐ実践できる最強「レシピ」をご紹介しよう。

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 わずか5・2%。先ごろ発表された衝撃的な数値は、全国の自治体が行っている骨粗鬆症検診の受診率だ。

 10月20日は「世界骨粗鬆症デー」で、啓蒙活動が盛んに行われてはいるものの、三大疾病とよばれる「がん」「心疾患」「脳卒中」と比べれば、骨にまで気を配る人たちは決して多くないことが窺(うかが)い知れよう。

 それもそのはず、骨粗鬆症は骨密度が低下してスカスカになった骨が、脆く折れやすくなる病気だが、自覚症状がほとんどない。しかし、発症すれば最悪の場合、「早死に」という結末に至ってしまう。

「死に直結する骨折を引き起こす病気なのに、あまりにも皆さん切迫感がないので、私はあえて注意を呼びかける意味で『骨卒中』と呼ぶことにしています」

 とは、国際骨粗鬆症財団(IOF)アジア太平洋地域代表を務める、鳥取大学医学部教授の萩野浩氏だ。

「骨粗鬆症で一番注意すべきは大腿骨骨折です。大腿骨を骨折すると健康な方と比べて、1年間での死亡リスクが6・7倍と非常に高く、25%の方が亡くなっています。また患者の30%も寝たきりとなり、痰が詰まることによる肺炎を起こしやすくなってしまいます。そもそも、大腿骨骨折の、115万症例中77%が転倒によるもので、そのうち7割が在宅中に起きているというデータがある。しかも大した転倒ではなくて、ちょっと躓(つまず)いたくらいでも骨折してしまうんです」

 脆くなった骨にとっては、日常生活におけるほんの少しの衝撃や、重みが加わっただけでも一大事。結果として寝たきりとなり、命を落とすリスクが高まるのだ。

 その最たる原因は「加齢」と「閉経」だと指摘するのは、日本骨粗鬆症学会評議員で伊奈病院整形外科部長の石橋英明氏である。

「骨粗鬆症の診断基準では若い時と比べて骨密度が80%以上なら正常、80%から70%なら骨量減少、70%を切った方を骨粗鬆症と診断します。骨量は男性が20歳、女性が18歳くらいでピークを迎え、残念ながらそれ以降は増えることがありません。そして、女性は閉経前後から、男性も50代くらいから骨量が減っていきます。年齢を重ねると、身体全体の組織が弱くなることに加えて、栄養の吸収率や利用効率が落ちて、運動量も減り、骨が弱っていきます。骨密度が下がると、骨折しやすくなりますが、まず注意が必要なのが背骨の圧迫骨折です。腰や背中の痛みが続くこともあるし、姿勢が悪くなって立ち姿が老け込んでしまう原因となります。まずは、日頃の適切な食事や運動で将来のための『骨貯金』を心がけましょう」

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